3:カム交換と言いたいところだが事実上なくなった……
90年代までのクルマだったら、ここで次のステップはカム交換だった。ハイカムを入れることでエンジンにもっと空気を送り込もうという狙いだ。しかし、ほぼすべての車種に可変バルブタイミング機構が備わった現在は、カム交換のメニューはほぼなくなった。可変バルブタイミングでその開閉時間をコントロールできるので、カムを変える必要がなくなったのだ。
そこで仕上げはECUチューン。とはいえ、ターボ車のようにブースト圧をちょちょっと上げればいきなりパワーアップ!! のような要素がないのがNA車。細かく煮詰めていくしかなく、オススメは専門ショップによる現車合わせだ。
ECUのデータをシャシダイで計測しながら1台ずつ合わせこんでいくのが「現車合わせ」。一般的にECUチューンというと、10~15万円でツルシと呼ばれる、ある程度パワーアップが望める汎用性のあるデータのインストールのことを言う。現車合わせはそこからさらに5~8万円ほど掛かってしまうが、個体差や使っているパーツに合わせてECUのデータを煮詰めていく作業のことを言う。
現車合わせなら、とくにそのクルマの専門的な知識があるショップに依頼するのが望ましい。車種に応じて美味しい可変バルブタイミングの領域があり、そこに合わせこんでいくと、驚くほど中間トルクが増したり、高回転の伸びが得られたりする。これが現代のカム交換に代わるものとなったのだ。
この先の領域としては排気量アップなどがあるが、いきなり3桁万円掛かるのが普通の世界。正直なかなかのコストは覚悟が必要になる。まずは、ここまでの3ステップで約50~80万円。このあたりで楽しむがオススメであるが、排気量アップの魔力もそれはそれでたまらない。