ターボと違ったアプローチで出力向上を狙う
ターボ車はブーストアップやタービン交換があるが、NA車ではどうやったらパワーアップができるのか。もちろんNAにはNAの、適切なパワーアップの手法がある!!
NAだからといって、パワーアップしないわけでは全然ない。もちろんチューニングでもっと速く、乗りやすく、楽しくすることが可能だ。では、どこから手を付ければいいのかを段階ごとに追っていこう。
1:まずはきっちり空気を吸える環境を作る
意外と高い効果を持つのがエアクリーナーの交換。純正フィルターと交換タイプでも数馬力変わることが多い。アクセルレスポンスも良くなるので、数馬力と侮るなかれ、数値以上の効果が感じられる。費用も数千円だ。
エアクリーナーをムキ出しタイプにするなら、外気を導入するダクトやエンジンルームの熱を吸わないための隔壁などは必要。これは良かれと思って導入しても、ひと手間加えないと逆効果にもなりかねない。
そこでもっとオススメなのは、社外の専用エアクリーナーボックス付きのもの。大容量で外気をダイレクトに取り込む形状で、冷たい空気を吸わせ、エアクリーナー自体も容量が増えているので吸気抵抗を抑えることができるのだ。コストは10万円ほど掛かるが、その効果は体感できること間違いない。
2:エキマニ&触媒交換で排気抵抗を抑える
現代のNA車のマフラーは結構な容量があり、正直交換してもそれほど効果が得られない車種も多い。しかし、エキマニとなるとまだまだ効果が高い。
そして、現代のクルマの多くはエキマニと触媒が一体化していることが多い。これはできるだけ触媒をエンジンに近づけて、高い温度の排気ガスを当てることで触媒自体を早く機能させたいから。
となると、昔のFR車のように触媒はクルマの中心付近にあり、温度も勢いも落ちてきている排気ガスが当たるのと、エンジンのすぐ近くで触媒に当たるのとではちょっと変わってくる。エンジンから出た直後の排気ガスを触媒で減速させてしまうのは、大きな抵抗になっているのだ。
そこで、セルの目が荒く抵抗の少ないスポーツ触媒にすると、エンジンレスポンスは鋭くなり、パワーの伸びも格段に良くなる。気持ちよさアップという点でもぜひオススメしたい。最近は86/BRZなどのようにエキマニと触媒が一体化していることが多く、20万円程度の出費にはなってしまうがオススメしたい効果がある。
3:カム交換と言いたいところだが事実上なくなった……
90年代までのクルマだったら、ここで次のステップはカム交換だった。ハイカムを入れることでエンジンにもっと空気を送り込もうという狙いだ。しかし、ほぼすべての車種に可変バルブタイミング機構が備わった現在は、カム交換のメニューはほぼなくなった。可変バルブタイミングでその開閉時間をコントロールできるので、カムを変える必要がなくなったのだ。
そこで仕上げはECUチューン。とはいえ、ターボ車のようにブースト圧をちょちょっと上げればいきなりパワーアップ!! のような要素がないのがNA車。細かく煮詰めていくしかなく、オススメは専門ショップによる現車合わせだ。
ECUのデータをシャシダイで計測しながら1台ずつ合わせこんでいくのが「現車合わせ」。一般的にECUチューンというと、10~15万円でツルシと呼ばれる、ある程度パワーアップが望める汎用性のあるデータのインストールのことを言う。現車合わせはそこからさらに5~8万円ほど掛かってしまうが、個体差や使っているパーツに合わせてECUのデータを煮詰めていく作業のことを言う。
現車合わせなら、とくにそのクルマの専門的な知識があるショップに依頼するのが望ましい。車種に応じて美味しい可変バルブタイミングの領域があり、そこに合わせこんでいくと、驚くほど中間トルクが増したり、高回転の伸びが得られたりする。これが現代のカム交換に代わるものとなったのだ。
この先の領域としては排気量アップなどがあるが、いきなり3桁万円掛かるのが普通の世界。正直なかなかのコストは覚悟が必要になる。まずは、ここまでの3ステップで約50~80万円。このあたりで楽しむがオススメであるが、排気量アップの魔力もそれはそれでたまらない。