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ド派手な修正舵に憧れちゃダメ! 上級者こそ地味でスムースなハンドル捌きだった

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

理想的なハンドルさばきは「一発で切って、一発で戻す」

 クルマの旋回プロセスは、①ハンドルを切る、②フロントタイヤの向きが変わる、③タイヤにスリップアングルがつく、④コーナリングフォースが発生、⑤ヨーレートが発生、という流れになっている。

 鉄道のような軌道車なら③のスリップアングルはつかないが、ゴム製のタイヤの場合、ハンドルを切るとまずタイヤがよれる。それからクルマの進行方向とタイヤの向きにずれが生じ(=スリップアングル)、ようやくクルマが曲がり始める。タイヤのグリップは一発で舵角を当てないと低いコーナーリングフォースしか出ない

 このときハンドルを切って、ある程度タイヤが変形すると、タイヤは最大のグリップ力を発揮するが、ハンドルを切って変形し続けている間は、大きなグリップ力は発揮できない。

 要するにゴム製品のタイヤというのは、基本的に変形が嫌いだということ。そうしたタイヤの事情を考えると、コーナリング中、微妙にハンドルを切ったり・戻したりを繰り返す修正舵は、タイヤにとって仕事のしにくい状況で、低いコーナリングフォースしか出せなくなる。サーキット走行をしているようす

アクセルコントロールで微調整するのが上級者

 必然的にコーナリングスピードも低下するし、限界が下がったうえに、クルマが不安定になるのでスピンの原因にもなりやすい。そういう意味では複合コーナーを別にして、コーナーにおける理想的なハンドルさばきは、「一発で切って、一発で戻す」これに尽きると言っていい。コーナーリング中に修正蛇をあてない

 人間だって、彼女や彼氏に振り回されるのは勘弁してほしいと思うように、タイヤだって(ハンドルを)切るなら切る、戻すなら戻す、とはっきり意思を伝えてくれた方が仕事がやりやすいし、機嫌もよくなるというもの。

 ましてクルマは1トン以上もある重たい物体なので、慣性も大きい。修正舵が増えるとその慣性の影響も大きくなってどんどん不安定になるため、いいことはひとつもない。したがってハンドルは早いタイミングから少しずつ切り足し、最大舵角に達したらクリップ付近までその舵角をキープし、加速開始と同時に徐々にハンドルを戻す。アンダーもしくはオーバーが出そうになったら修正舵ではなく、アクセルコントロールで微調整するのが上級者だ。コーナーリング中の修正蛇は良くない

 つねにタイヤの身になって、「一発で切って、一発で戻す」ハンドルさばきをマスターできるよう鍛錬しよう。一般道や高速道路を走るときにも意識するのが上達への道。公道でも修正舵の多い人の隣に乗ると、クルマ酔いしやすいものだ……。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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