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「本格ジムニー」から「トランポ仕様ハイエース」に「ディフェンダー」まで参加! 真冬の北海道を舞台に開催した「Shibareru Adventure Rally 2022」をレポート

参加者の笑顔溢れるラリー形式のツーリズム

 2月の第3周の週末から週明けにかけて、北海道を爆弾低気圧と大雪が襲った。交通網がマヒしてしまうほど非常に厳しい寒さのなか、今回で2回目の開催となるラリーレイド「Shibareru Adventure Rally 2022」が開催された。

 イベント名の「凍(しば)れる」とは、寒さが厳しい北海道の方言で凍てつく寒さのことを指す。その名の通り、真冬の北海道を舞台に展開している。

 2回目となる今回も、パリダカ(現:ダカールラリー)でおなじみ、ラリー界のレジェンドである菅原義正選手や、同じくパリダカのランクルで市販車部門優勝を何度も経験してきた三橋 淳選手がエントリー。そして、パリダカだけでなくアジアンクロスカントリーにも出場し、昨年はル・マン24時間レースにも参戦した青木拓磨選手といった面々がこれに参戦した。

クローズドコースのSSも用意される本格っぷり

 イベントの内容は競技要素を極力排除したラリーレイドの形態を活かした新しいツーリズム。スピードを競うわけでもなく、タイムの正確性でも悪路走破性でもなく純粋にその行程を楽しむ、競技ライセンスが不要なラリーアドベンチャーとなっている。

 毎日、出発地点と通過地点(チェックポイント)、最終目的地が定められているが、チェックポイントの通過義務はなく、あくまで旅行を楽しむための提案というスタンスで示されている。このルートブックを参考にしながらラリーのナビゲーションと、真冬の北海道でのスノードライブを楽しむこととなる。今回は2月19日(土)~22日(火)の日程。新千歳モーターランドでスタートし、道東へ旅をしながら巡る4日間となっている。

 ラリーでおなじみのコマ図を使ってリエゾン(移動区間)を楽しみ、SS(シバレルラリーではSSのことをスペシャルステージではなく“滑らす”ステージと呼ぶ)と名付けられたクローズドコースを設定。このSSは、雪上ドライビングのリスクを回避するため、クローズドコースで実際に自分のクルマで雪道の性能を確認できるよう設定された。安全に限界を知ることができる仕組みもあり、スノードライブを十分堪能できるセクションが用意されていた。

 リエゾンの区間も各日の最終目的地も知らされているため、ロスト(コースがわからなくなる)したとしても問題はない。ランチは各自自由にということもあって、敢えてルートから離れたグルメスポットを巡ったり、時間的な余裕もあるので温泉施設を周るなど、各々が自由にラリーをしながら楽しむことができる。

 またコース設定は、この時期ならではの見どころを周るように設定されており、パッケージツアーでは見ることのできない、そして夏の北海道とは異なるシーンをいくつも堪能することができた。

 今回の大会の3日目には、オホーツク方面への移動ルートで見どころ走りどころ満載の設定となっていたが、爆弾低気圧の接近による強風のため残念ながらこれを断念。宿泊地を釧路へ変更し、ルート走行も中止し直接宿に直行するルートとなってしまった。それ以外は概ね順調に雪道と冬の北海道を満喫できた。

 主催者であるS.A.R実行委員会の春木久史さんは、そもそも北海道とサハリンをめぐる「ノースアイランドラリー」という2輪のラリーイベントを2014年から開催している(稚内~サハリン航路が無くなってしまったため、現在は北海道内で完結)。ラリーとしての形式をとりながら競技の要素を取り除いていっても十分冒険ができる、旅として面白いことに気が付いたという。

 そして、道民として夏の北海道ではなく、北海道の冬の魅力を知ってもらうために、2輪ではなく4輪で楽しめるようにということでこのイベントを発案し、開催することとなったという。とくに、このコロナ禍でイベントや旅行ができない状況となって、より『移動の欲求』が高まってきており、その受け皿としてニーズは高いとみる。

「これがなぜ面白いか? それは自分の力で道を探していくからです。自分のペースで自分で切り開いていくわけで、こういった行為ってクルマ&バイク好きにはすごく大事だと思います」とその魅力を語る。まだまだ多くの人に見てもらいたい素晴らしいロケーションがたくさんあって、シバレルラリーはこれから毎年やっていく予定だという。また、夏バージョンも企画したい、と構想は膨らむばかり、だ。

参加者はこのシバレルラリーをどう楽しんだ?

 新型コロナウイルス感染症拡大などの影響もあって、実際の参加は17組となった。道内はもちろん、沖縄など国内各地から参加があった。参加定員は、ドライバーとナビゲーターからなる2名が基本だが(1台につき乗車定員内・最大5名まで登録が可能)、ひとりで参戦する参加者も多数いた。実際に参加をした皆さんはどのようにこのラリーを楽しんだのか聞いてみた。

松原美樹さん&工藤崇博さん(#954 ホンダCR-V)

「自分では絶対に選ばないルートを走る機会を与えてくれた」

  昨年退職して、以後アウトドアスポーツを中心にリタイアライフを堪能している松原さん。今回はそのアウトドアを楽しむ仲間と初めての参戦。

「こんなに本格的な雪道は初めてだったけれど、ラリーの最初にクローズドコースのSSで挙動体験をしてから一般道に出たので安心して走ることができました。絶対に自分では選ばないルートを走る機会を与えてくれたし、北海道の美しさをどう見せたいかってこともコマ図からわかってきて、しっかり楽しむことができました」

菅原義正さん&若林葉子さん(#100 スズキ・ジムニー)

「今年はちょっとシバレすぎだね」

 昨年の初回大会に続いて、ラリー界のレジェンドである菅原さんは、雑誌編集者である若林さんとペアを組んで参戦。

「昨年は暖かくてあまり凍れなかったけど、今年は凍れすぎだね(笑)。僕はジムニーで参戦しているけれど、日本で一番売れているクロカン4WDだからね。こういったレースでも楽しく走れるよ。このクルマはこれからモンゴルに持っていって、ラリーを楽しんで来年のシバレルラリーにもこれを使うつもりだよ(笑)」

佐野新世さん&芙美子さん(#99 トヨタ・ハイエース)

「トランポでも楽しめるってことを知ってもらいたい」

 2輪&4輪の国内外のレースに参戦をし、YouTuberとしても活動している佐野さんも昨年に引き続いて家族で参戦。レース関連のつながりもあり、このラリーへの参戦も自然の流れ参加となった。今回のイベントの模様もYouTubeで配信していた。

「昨年はクロカン四駆で参戦してました。今回はライダーが持っているトランポでも参戦できるということを知らしめたくて、この4WDのハイエースをチョイスしました。本当はスパイクタイヤを履いたバイクも持ってきて楽しむ予定だったんですが悪天候のため諦めました〜」

青木拓磨さん&井利元聖史さん(#24 ランドローバー・ディフェンダー110)

「クルマもタイヤも良かった~」

 青木選手とペアを組んだのは、当初はちょっと見学するつもりでやってきた井利 元さん。最初のSSがスタートする直前にスケジュールを調整して急きょ正式参戦というハチャメチャぶりだったが、4日間をしっかり堪能した様子。「ぜひ来年も参加します」とすでにノリノリ。

 青木選手は「今回はクロカン四駆ってことでランドローバーに連絡してこのディフェンダーを借りました。オートクルーズの機能もあるし、車高の上げ下げもできるので乗降も楽で、このラリーにピッタリでした。このラリーのために用意したヨコハマのジオランダーI/T-Sも良く、ひどい雪道でも安心して走ることができました」

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