中古では福祉車両だからという付加価値はプラスされず
福祉車両は、基本的には多品種少量生産だ。例えばトヨタの場合、助手席の乗降性を向上させる助手席リフトアップチルトシート車、2列目シートを外側へ移動させて乗り降りをサポートするサイドリフトアップチルトシート車、リヤゲートから車椅子に座った状態で乗り込める車椅子仕様車、荷室に車椅子を畳んで収納できるタイプもある。
グレードなどこだわらないのなら中古もアリ
福祉車両の販売台数は少ないが、いろいろなタイプが設定されているわけだ。その理由は、同乗する人やユーザーの用途や事情などにより、福祉車両に対するニーズが幅広いことに基づく。
従って福祉車両のタイプに加えて、ベースとなる車種やグレードにもこだわりのあるユーザーは、好みの車種やグレードをベースにした福祉車両を新車で買う方が手っ取り早いだろう。
しかし「車椅子のままで車内に乗り込めるクルマが欲しいが、ベースの車種やグレードは問わない」とするなら、中古車を選ぶ余地も生じる。福祉車両の中古車はニーズがあまり多くないから、価格は意外に割安だ。例えばヴォクシー&ノアの車椅子仕様車の場合、5年落ちの車両が220万円前後で販売されている。アルファードのような人気車も含めて、福祉車両としての価格はほとんど上乗せされない。ベース車の中古車価格に近い。
欲しい仕様などを見極めて専門店などに向かうのが吉
前述のように福祉車両は中古車を買うユーザーが少ないため、いわゆるリセールバリューが下がり、中古車の価格も新車価格の割に安くなった。希望に合った車両が見つかれば、福祉車両の中古車は買い得という見方もできる。
福祉車両を中古で買うときに注意したいのは、ユーザーのニーズに適しているかを見極めることだ。先に述べた通り、福祉車両のニーズと機能は細分化されているから、自分に合ったタイプを探す必要がある。
また福祉車両もベース車と同様に進化しており、古いクルマは車椅子の収納方法など、使い勝手が設計の新しい車種に比べて見劣りする場合もある。実際に車両をチェックして、使いやすさを確認したい。
そうなると規模の大きな中古車販売店の方が選びやすい。メーカー系列店を含めて「介護&福祉車両コーナー」を設けている大型店舗もある。中古の福祉車両を豊富にそろえている販売店に出かけて、用途に合った車両を選ぶのが合理的だ。