シンプルだからこそマルチピースホイールの特別感が生きる
マルチピースホイールにはさまざまなメリットがある。リムの深さや造形美を楽しめるし、ディスクとは別体だから色や質感の違いで表情にメリハリが付く。また、インセットのバリエーションも豊富で、マッチングを取りやすい。何より組み立てホイールを履いているという優越感がたまらない。
ウェッズのマーベリックは、そんな2ピースホイールの専門ブランド。マルチは初めてというビギナーから、ツライチを極めたい上級者まで、数多くのユーザーに支持されている。どんなイジりにも合わせやすい王道的なモデルが揃っており、セダン・ワゴン・ミニバン・SUV・輸入車まで対応車種のジャンルも幅広い。
2022年のイヤーモデルとなる「1410S」も、じつにオーソドックスなスタイルを採用。奇をてらわず、余計な装飾は用いず、マルチピースホイールの特別感を堪能できる仕立て。それでいて凡庸ではなく、緻密に計算されたディテールは見れば見るほど味わい深い。詳しく紹介していこう。
精緻な左右対称レイアウトに、折り目正しき立体造形
マーベリック1410Sは10本スポークモデル。ナットホールの倍数ということもあって非常にバランスが良く、まとまって見えるのが特徴。その10本のスポークは規則正しく均等に配置され、直線基調でひねりなども入れていない。完璧な左右対称のレイアウトからは、端正で上品な印象が伝わってくる。
スポーク天面は細く、リムに向かうにしたがってさらに引き絞ることで軽やかさを演出。付け根はナットホールぎりぎりまでえぐってあるから足長感も上々だ。もちろんスポーク自体の厚みはしっかり確保されているし、側面は段を設けて剛性を高めているので、強度や耐久性は問題なし。決して華奢には見えず、むしろ角度によっては力強さを感じられるだろう。
そして目を引くのがディスクフェイスだ。基本、リムからセンターに向けて緩やかな傾斜で落とし込まれているのだが、スポークの根本付近からはパキッと角度を変えて一気に深くなる。さらにナットホールあたりでもう一度落とすという二段構え。何となくコンケーブしてるかな? ではなく、誰がどこから見てもはっきりわかりやすく立体的。
またこの二段目のキャップまわりは、サークルではなく五角形を描いているのもポイント。スリムで直線的なスポークに、急角度で落とされたディスク、そしてこの五角形のセンターパートによって、全体的にシャープな雰囲気に仕上げられている。
マーベリック最強のツヤを誇る新色グレイズブラック
カラーバリエーションは3タイプ設定。標準色となるプレミアムシルバーとグレイズブラックのほか、1万1000円アップでSBCも選べる(20・21インチのみ)。
最注目は今年のNEWカラーとなるグレイズブラック。したたるようなツヤをたたえた黒である。表面は滑らかで光の反射率も高く、さながら舞台上でスポットライトを浴びるグランドピアノのよう。ウェッズによるとマーベリック史上もっともツヤのあるブラックだそうで、トップコートのクリア層にその秘密が隠されている模様。気品ある10本のスポークが艶やかな黒に引き立てられ、唯一無二の存在感を放つ。
定番のプレミアムシルバーは、メタリックな光沢とそれによって生み出されるくっきりした陰影が魅力。スポークのエッジや側面の段差、落とし込みがより強調され、抑揚のある表情を見せてくれる。大人っぽい履きこなしをしたい人にオススメだ。
SBCはラグジュアリー路線にドンピシャ。キラキラしたメッキ調の華やかさがウリだが、影になった部分は黒っぽく静かに煌めく。その光のコントラストが足元に高貴さをプラス。セダン系はもちろん、ハリアーなど高級SUVにもハマるだろう。