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驚くなかれ旧車のほうが維持がラク! 数十年後の最新車を待ち受けるやっかいな現実とは

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: ニスモ/Auto Messe Web

80~90年代のハイテク車両に制御系ユニットのトラブルが……

 また、これはハコスカやケンメリ、専門店のある1960~70年代の人気車種に限定されるが、リプロパーツも充実しており内外装ともにほぼ揃う。1990年代の一部車種で最近劣化(ガタ)が問題になっているプロペラシャフトも用意され、フレームやエンジン本体以外は問題がない勢いだ。

旧車のパーツなどイメージ

 旧車イベントでも数多くのパーツショップを見かけるので、供給体制も問題ない。よく、旧車の世界で「何とかなる」という言葉をよく聞くが、ある程度までは本当になんとかできるのだ。

 徐々になんとかならなくなりつつあるのが、1980~1990年代のクルマで、一部致命的なトラブルも出始めている。今、中古車マーケットで人気の高いR32GT-Rを例に挙げると、ABS&HICASのオイル漏れ、アテーサE-TSの油圧ユニットなど制御系ユニットの不具合が多発。いずれのパーツも一部を除き、ほぼ製造廃止で現在は修理や加工、中古パーツを活用するなどで対処しているが、修理不可のものも出始めており、中古パーツもいずれ枯渇するのは目に見えている。

 こうしたメーカーでしか製造できない部品のトラブルは年数が経過するごとに増えていく。とくに機能パーツは再生産が難しく、仮にできたとしても相当高額になるため売れない危険性があり、二の足を踏んでいるのが現状。さらに新しいクルマになるとこうした制御系のパーツが増え、現在のハコスカやケンメリと同じ年数が経過したときに壊れずに乗り続けられるか、と聞かれれば不安になる。

ヘリテージパーツはメーカー基準をクリアさせるため高額に

 また、GT-Rやロードスター、スープラなど一部車種はメーカーでヘリテージパーツを用意している。だが、前述した旧車群のリプロパーツに比べると圧倒的に数は少なく、メーカーのクオリティ(基準をクリアした上)で製造されているためどうしても値段は高くなる。

ヘリテージパーツのイメージ

 リプロパーツメーカーに話を聞くと「自動車メーカーがどこまでの部品を製造するかを見極めないと、われわれは手が出せません。オーナーは純正が一番と考える方も多いので、新しめのクルマのリプロパーツ製造にはどうしても慎重になりますね」とのこと。

 最近は輸出が盛んなバブル期の名車用パーツが、世界的な旧車人気の影響により、海外での部品製造が活発化。この年代の人気車種については今後、グローバルで部品を揃えることも予想される。

 総合すると趣味クルマとして維持しやすいのは電子デバイスの少ない人気がある旧車。新しいクルマを一生愛し続けると考えるならば、繰り返しとなるがドナー、もしくは最低でも制御ユニットを持っておくのがベストだろう(もちろん、旧車もドナーやパーツを持っている方がいい)。クルマ趣味はこうした手間や苦労を面倒と思わず、それを楽しむくらいの気概は必要なのだ。

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