ロールケージのメリットとデメリット
ロールバー(ロールケージ)のメリット
続いてはロールケージのより詳しいメリットと、デメリットについても説明したい。最大のメリットは上でも書いたとおり、大きなクラッシュからドライバーを守ること。レースに限らずサーキット走行では事故の可能性が大なり小なりあり、スピードの制限がなく何かアクシデントが発生した際の被害は甚大だ。
また事故のダメージを軽減してくれるのは、サーキットだけじゃなく一般道でも変わらない。とくにドアの内側に装着する『サイドバー』があれば、横転や正面衝突だけじゃなく横から突っ込まれたときも、身体へのダメージを大きく軽減してくれること確実。
ボディ剛性の向上も恩恵があるのはサーキットだけじゃない。車体の歪みやねじれが減れば乗り心地が改善されることはあるし、常識的な速度でもコーナリングやブレーキングの安定感は伝わるはず。
ロールバー(ロールケージ)のデメリット
さらに安全や速さとは関係ないもののレーシングカーっぽい外観は、ドレスアップ効果も高く後述するパッドの色でも個性をアピールできる。しかしながらデメリットが皆無なワケではなく、それらも忘れずに解説しておきたい。
まずは車内に複数のパイプを組み付けるので、居住空間はどうしても狭くなること。とくにパイプを足もとでフロアに固定するため、乗降性は少なからず犠牲になると考えたほうがいい。ただしダッシュボードを貫通するタイプなら、脱着や穴開けで工賃は高くなっても乗降性への影響は少ないはず。また近年はナンバー付き車両を前提とした設計のロールバーが多く、レース専用の装備だった時代よりはレイアウトが考慮され、街乗りが苦になるほどの不便さは感じないと思われる。
そして以前は6点式を超えるロールケージであれば、リヤシートを外し乗車定員を変更するのが当たり前だった。それも現在なら乗車定員はそのままで、リヤシートを外さず装着できる製品も多くあり、大きなデメリットとはいえないだろう。なお点数が多ければ多いほど重量は増えるが、剛性や安全性の向上と差し引けば十分にお釣りが出る。
そのほかはボルトで固定するタイプでもフロアに穴を開けるので、買い換えるときの査定に悪影響があるかもしれない。ただしスポーツカーの専門店であったり、個人売買なら逆にプラスとなる可能性もあるため、一概にデメリットと決め付けてしまうのは疑問だ。
ロールバー(ロールケージ)を装着した車両で公道を走るためのルール
ロールバー(ロールケージ)を装着した車両でも行動走行は可能
最後はロールバーを装着した車両で、公道を走行するために必要なこと。レース専用品というイメージを持つ人も多いが、正しく取り付けたり必要な手続きさえすれば、車検は普通にパスするし違反にもならない。
ロールバー(ロールケージ)装着車両で公道を走行する際の注意点
ロールバーにパッドを巻く
絶対に必要なのは『ロールバーパッド』と呼ばれる、緩衝材を人が乗る部分のパイプに巻き付けること。専用品じゃないにしろ何かしらの緩衝材がないと車検に落ちるし、街乗りでは事故のとき頭をぶつける危険性があり、安全どころか危険なパーツとなってしまう。このことは『道路運送車両の保安基準』の第18条2項に記されており、DIYで取り付けにチャレンジする場合は気を付けてほしい。
運転の視界を妨げない
もうひとつ『平成28年11月1日以降の新型車及び平成30年11月1日以降の継続生産車』は、運転席から前方の一定範囲に視界を妨げる遮断物を置くことを禁止する、『自動車の運転に必要な直接視界に係る協定規則』第125号も関係する。またリヤシートを取り外すタイプのロールバーを使うなら、乗車定員の変更を行うのも忘れずに。ちなみに2名乗車にするならロールバーパッドは運転席と助手席だけ巻けばOKだが、4名や5名のままであれば後席の部分も巻かないとNGなので要注意だ。
まとめ
レースや本格的なサーキット走行にはモチロン、街乗りでも少なくない恩恵があるロールバー。速さと安全性と見た目を満たすチューニングパーツ、役割や装着や行動を走るときの注意を正確に理解したうえで使ってほしい。