ホイールハウス内の空気を抜くカナード
フロント周りでいえば、バンパーの両脇に取り付ける小さな羽根、カナードも空力パーツとしてとても有効だ。カナードはボディサイドに強い渦=ボルテックスを作って、ホイールハウス内の空気を引き抜く働きがある。そのため、ホイールハウスのなかで逃げ場がなくなった車体を持ち上げる力=リフトフォースを減らし、ダウンフォースを稼ぐことができる。
よくできたカナードならば、フロントのダウンフォース(CLf)を8%も増加させ、ダウンフォースとトレードオフになりやすいドラッグ(Cd値=空気抵抗係数)は+0.3%で抑えることができたりする。
小さくても効果は絶大なリヤウイング
そしてダウンフォースといえば、リヤウイング。大きなリヤウイングはダウンフォースも大きいがその分抵抗も増えてしまう。一方で小さなものでも効果はとても大きく、例えばホンダS2000だと、タイプSの純正ですらあるとなしでは大違い。大きなサーキットではなく、袖ケ浦のようなサーキットでも、リヤウイングの有無で安定感がまるで違う。S2000でサーキットを走るのなら、ぜひともリヤウイングは欲しいところだ。
逆の例では、R32GT-RのNISMOに追加されたリヤスモールウイング。空力パーツが市販状態からいじれないグループAレースでは、リヤスモールウイングが追加されてしまったために、フロントがリフト気味になり「ない方が良かった」と不評だった! そういう意味で、空力チェーンは前後のバランスも非常に重要といえる。
空気の抜け穴を作ったりすることでも空気抵抗を減らせる
あとはNACAダクトや開口部の大きいフロントバンパー、ブレーキの導風板や冷却ダクトなど、クーリング系のエアロパーツもサーキットでは大きな武器になる。そのほか、エアロワイパーやボディ下面をフラットにするカバーやパネルは空気抵抗軽減に大きく貢献している。またリヤバンパーの袋状の部分をメッシュにしたりして、空気の抜け穴を作ったりすることでも空気抵抗を減らせる。
そしてリヤディフューザーなども、ダウンフォースを得られ空気抵抗も減らせる一石二鳥エアロとしておすすめだ。とはいえ、エアロパーツは目に見えない空気が相手であり、ドレスアップが目的のものもあれば、モータースポーツで実績のあるものまでいろいろある。空力的効果を考えるのなら、空力に精通しているメーカーの製品をチョイスするようにしよう。