バンパー形状だけじゃないBRZとGR86の相違点とは
2021年7月29日に発表された新型BRZと、2021年10月28日に発表されたGR86。最近ではどちらも街なかで見かけるようになり、納車されたオーナーのSNS投稿も毎日のように目にする。このスバルBRZとトヨタGR86は、初代モデルと同様にトヨタとスバルによる共同開発車であり、兄弟車という位置づけは変わらない。初代モデルはエクステリアやサスペンションの味付けなどでキャラクターの差別化が図られていたが、新型になった両車にも明確な相違点があり、マニアックな視点で2台をあらためてチェックしてみた。
よく見ると空力シボの採用箇所もそれぞれに異なる
まずエクステリアだが、これはひと目でわかるフロントバンパー形状が異なる。BRZはセンターのロワグリルがスバル車共通のイメージを取り入れたヘキサゴン(六角形)型であるのに対し、GR86はほかのGRシリーズと同じくスクエアな形状となっている。また、フロント左右に設けられたエアインテーク形状も曲線を描くデザインのBRZに対し、GR86は直線的なデザインとなっている。
マニアックなところでインテーク部分に用いられる空力シボの模様も、それぞれのモデルが狙った空力特性が異なるため、配置されている部分が異なるのも特徴だ。ほかにも18インチホイール装着車はデザインこそ同一ながら、BRZはマットグレーメタリック、GR86はマットブラックのカラーリングとなる。ヘッドライトについては機能面こそ同一のフルLED式となるが、BRZはスバルのアイデンティティであるコの字型のポジションランプがより強調され、GR86はL字型デザインを採用する。
インテリア装備ではオートエアコンの制御に大きな違いが!
インテリアでは、BRZがオーソドックスなブラックインテリアにレッドステッチというスポーツカーらしい組み合わせであることに対し、GR86では最上位グレードの「RZ」にモノトーンのブラックのほか、フロアカーペットやドアトリムにレッドのアクセントカラーが使われる、ブラック×レッドカラーのインテリアカラーもチョイスすることが可能だ。
細かい部分では、BRZはカップカーベーシックを除き、インナードアハンドルがメッキとなるほか、Sグレードにはパワーウインドウスイッチにもメッキ加飾が備わるのがポイント。GR86は全車インナーハンドルが素地でパワーウインドウスイッチはハイグロスブラック加飾のみの設定だ。
さらにデザインこそ同一ながら、オートエアコンの制御がBRZとGR86では異なる。BRZはほかのスバル車同様にAUTOボタンを押せばすべての制御を完全自動で行う”FULL AUTO”の表示が出るが、GR86はAUTOの表示のみとなる。ちなみにこの制御の違いは初代BRZとトヨタ86でも異なり、各社の空調に対する考え方の違いが反映されている部分といえる。
形式こそ同じだが乗り味の差別化が図られたサス構造を採用
メカニズムの面では、初代モデル以上に足まわりのセッティングが異なり、フロントハウジングに使用されている素材やスタビライザーの取り付け位置やパイプ径、リヤトレーリングリンクブッシュの硬さまでも異なる。スプリングのバネレートは、BRZがフロントが高く設定されているものの、リヤに関してはGR86の方が高いバネレートで設定されている。
さらにスタビライザーもBRZのフロントが中空のφ18.3に対し、GR86のフロントは中実のφ18.0、リヤはBRZがφ15.0でボディ直付け、GR86がφ14.0のブラケット取付けとなり、それぞれメーカーが目指す乗り味の違いを明確に狙っていることがわかる。またステアリングフィールも若干異なり、電動パワステの操舵感はBRZがやや重め、GR86は軽めにセッティングされている。
スロットル特性も明確に異なるので試乗してからの購入をオススメしたい
最後はスロットル特性の違いだ。エンジンスペックこそ同一ながら、BRZではトルクの立ち上がりを穏やかにして扱いやすくする一方で、GR86はレスポンス重視となっている。この辺りも乗り比べると違いを体感することができるはず。加えてATの制御も異なり、変速のスムースさに重点を置いたBRZに対し、GR86はダイレクト感を重視したセッティングだ。
このように、初代よりも大きく差別化が図られている新型BRZとGR86は、それぞれのメーカーが目指している乗り味を妥協することなく狙った結果で、両方を乗り比べればその違いは初代モデル以上に体感できるポイントだ。「どちらが良い!」というわけではなく、デザインや乗り味などオーナーの好みに合わせて選択することができるのは兄弟車ならではの醍醐味といえる。スバルBRZとトヨタGR86でどちらを購入しようか悩んでいるなら、スタイリングはもちろん試乗してから決めることをオススメしたい。