新型ランクルはいまや納期が4年待ち……
2021年8月に現行「トヨタ・ランドクルーザー」が発売されたが、販売店では「納期はまったくわからない。4年とか5年といわれるが、正確なものではない」という。
納期遅延の原因は、新型コロナウイルスではない。開発者は次のように説明した。「現行ランドクルーザーは、生産総数のうち、50%を中東に輸出して、オーストラリアとロシアにも各20%が供給される。日本を含めたそのほかの地域で扱うのは、残りの10%だ。そして中東の人気も予想以上に高く、納期が読めない状態になった」
レアすぎる新型の3年後残価率は驚異の70%
つまり納期遅延の一番の原因は、日本への供給台数が少ないことだ。トヨタは日本でも、世界的にも規模の大きなメーカーのため、商品を安定的に供給して市場を混乱させないことが求められる。ところがランドクルーザーでは、その役割を果たせていない。
ちなみにランドクルーザーを残価設定ローンで購入すると、3年後の残価率(新車価格に占める残存価値の割合/リセールバリューと考えても良い)は70%に達する。したがって3年後に車両を返却するなら、残りの30%だけ支払えば良い。ヤリスの3年後の残価率は40%だから、70%のランドクルーザーは格段に高い。
この理由も、納期が長く入手しにくいからだ。「ランドクルーザーはリセールバリューが高い」と喜べる状態ではない。高い残価率は、待たされるユーザーの困惑の上に成り立つからだ。
先代の中古価格は新車時超えに
そして現行ランドクルーザーが購入しにくいため、先代型(200系)の中古車価格まで高騰している。5年落ちの2017年式でも、売れ筋価格帯は700~800万円で、新車時の上限価格であった697万4000円(ZX)を上まわる。このようにランドクルーザーは、現行型は納期、先代型は中古車価格で大混乱に陥っている。
チョイ古の70系ランクルにすら高騰の波
読者諸兄には、このようなクルマはまったく推奨できないが、ランドクルーザーにはほかのバリエーションもある。「ランドクルーザー70」はどうか。1984年に発売された生粋の悪路向けSUVで、今でも海外では販売されている。
このランドクルーザー70が、2014年に一時的に国内販売を復活させた。今ではその中古車が流通している。ところが価格が高い。新車価格はバンが360万円、ピックアップ(ダブルキャブ)は350万円だったのに、中古車価格は10万kmを走った車両でも390万円、程度が良ければ500万円を超える。これも推奨できない。
それでも「ランクル」を求めるなら先代「プラド」が活路
結局のところ、「ランドクルーザー」という名前の付いた車種でどうにかマトモに買えるのは、2002年から2009年まで販売された先代「ランドクルーザープラド」(3代目)だ。直列4気筒2.7Lエンジン搭載車であれば、貧弱な動力性能に不満を感じるものの、2008年式が200~260万円で売られている。
それにしてもランドクルーザーは、新車、中古車を問わず、購入しにくいクルマになった。良心的といわれるトヨタ車にも、いろいろなクルマがあるのだ。