隠れた名車はたくさんある!
ここ数年で予想もつかないほどの高騰ぶりを見せている国産旧車。とくにスポーツモデルについては、この10年ほどで倍以上の値上がりを見せているものも珍しくなく、もはや憧れだけではどうにもならない価格となってしまっている。
裏を返せばそれだけ「名車」であるということでもあるのだが、なにもスポーツモデルだけが名車というわけではないハズ。そこで今回は独断と偏見で、スポーツモデル以外で名車になり得そうな、90年代までのクルマをピックアップしてみたい。
スズキ・ワゴンR(初代)
今でこそ軽自動車はスペース効率を重視したハイトボディを持つモデルが人気の中心となっている。それを一般的なものとしたのが、言わずと知れたワゴンRだった。
1993年に登場した初代ワゴンRは、アルト系のコンポーネントを流用しながらも、背の高いスタイルを実現するためにフロアを二重として上げ底とした。これがフロアの振動軽減や騒音防止にも効果を発揮し、登録車にも負けない快適性を実現していたのだ。
今でこそN-BOXを筆頭とするスーパーハイトワゴンが人気となっているが、この初代ワゴンRが存在しなければN-BOXも生まれていなかったと思うと、名車認定されるのも当然と言えるのではないだろうか。
日産エルグランド(初代)
それまでは多人数を一度に目的地まで運ぶことに重きを置いていたワンボックスカー。これに、高級という概念を持ち込んだ初代エルグランドもまた、時代を形作った名車のひとつと言えるだろう。
シンプルかつクリーンなスタイルのボディに、堂々としたメッキグリルを持つフロントマスクという組み合わせも斬新。室内も広くV6エンジンによる高い動力性能(4気筒ディーゼルもあったが)など、今を時めくアルファードも、初代エルグランドが先陣を切ったからこそ存在していると言っても過言ではないだろう。
そんな初代エルグランドも生産終了から20年が経過し、状態のよいものは着実に姿を消しつつある。まだ高騰はしてないものの、ふたたび火がつく可能性も大いにあるハズだ。
トヨタRAV4(初代)
今でこそ大ブームのクロスオーバーSUVだが、ひと昔前のSUVはクロカン車(クロスカントリー車)と呼ばれており、無骨なイメージの車両となっていた。それを気軽に日常的に乗ることができる“ライトクロカン”として一気に普及させたのが、1994年に登場した初代RAV4だったのだ。
ライトクロカンとしては1988年にリリースされた初代エスクードが先となるが、あちらはラダーフレームを使用していたのに対し、RAV4は一般的なモノコックボディを採用している。見た目こそクロカン車風であるものの、乗り味は乗用車と同等という点が大きな違いとなっていた。
また当初はモノグレードとなっており、豊富な販売店オプションで自分好みの1台を作り上げるという点も、斬新であっという間に人気車種となった。しかし、気がつけば普段見かける機会も減っており、すでに状態のよい中古車は価格が上昇に転じているのだ。
日産レパードJ.フェリー
レパードというと「あぶない刑事」の劇中車としても知られる2代目が人気となっている。だが、そこから一気に方向転換をした実質的な3代目モデル、レパードJ.フェリーもそろそろ再評価される車両ではないだろうか。
「従来とは違う新しいタイプの高級車」として、セドリック/グロリアともシーマとも異なるテイストの高級車セダンに仕立てられている。特徴的なデザインはカリフォルニアにある、日産のデザインスタジオで創り上げられたものだ。
当時はその丸みを帯びたルックスや後ろ下がりのデザインが酷評されたが、今見ても斬新さを感じるデザインは秀逸。オプションのイタリア・ポルトローナフラウ社製の高級本革シートなどは、高級輸入モデルにも匹敵する豪華さとなっていたのである。