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GT-Rを超える可能性もあった「未完の大器」! 「三菱GTO」が名車になれなかったワケ

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

志は高かったが未成熟で目指す性能は達成できなかった

 それでもホイールベースを短縮(なんと2470㎜)して回頭性を高め、トレッドも拡大。車体の剛性バランスも前後で可能な限り整え、駆動配分を45:55とリヤ寄りにするなどを工夫。一般的には直線番長とは言われているが、じつは思った以上に曲がる。ただ、スポーツカーとしては長すぎるオーバーハングとフロントアクスルよりも前に、重い3Lのターボエンジンを搭載するのが問題で、ステアリングを切ったときこそ機敏に動こうとするが、前後端の重さゆえに敏捷さは足りず。

 さらに一度限界を超えるとアンダーステアが収まらないなど、コーナーリング時の挙動は自然ではなかった。ちなみに、前後オーバーハングの重さを削り取ることでバランスを最適化し、重量に見合うサスペンションや大径ブレーキを投入したN1耐久レース車両は、R32GT-R以上にコーナーが速かったそうだ。6G72型3L V6ツインターボエンジン

 HSR譲りの先進技術も志は高かったが当時は未成熟で、統合制御を達成できてはおらず、GTOの弱点を補うまでには至らなかった。また今ほどシステムをコンパクト化できず、豪華装備とともに重量増の一因にもなった。ただ、この考え方はのちのランサーエボリューションに受け継がれ、三菱の4輪運動制御技術であるS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)としてシステムは確立。決して無駄に終わったわけではない。

最新技術や思想でGTOを作り直したらR35以上の4WDスポーツが誕生したかも⁉

 もし、現在の技術でGTOを作り直したら、R35GT-Rのように重量増をものともしない真の高性能4WDスポーツができるのではないだろうか? 2020年に「4000GT(海外でGTOは3000GTと呼ばれていた)」として後継モデルが復活する噂がインターネットを中心に話題に上ったが、次期フェアレディZをべースとした高性能ハイブリッドスポーツカーとしての復活は(Zを継続していく上でも)ありえない話ではない(ただし、Zのみの販売になる可能性もある)。初代三菱GTOのリヤスタイル

 昨年、ラリア―トブランドも復活させ、スポーツイメージの復権を果たした三菱。ハードルは相当高いと思うが、イメージリーダーカーとしてGTOのリバイバルをいちファンとして期待したい。 

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  • 初代三菱GTOの走り
  • ウェット路面を走る三菱GTO
  • 初代三菱GTOのイメージカット
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  • 初代三菱GTOのリヤスタイル
  • 三菱のコンセプトカーHSRⅡ
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