ジウジアーロのデザインした「アペTM」
つねにイタリアと時代を反映し続けて進化するアぺは、1982年にはジョルジェット・ジウジアーロによるデザインの「アぺTM」に進化。独立懸架サスに自動車ライクなステアリングすら備え、ホイールは12インチにまで拡大された。
その一方で、1984年には経済的なディーゼルモデルもラインアップ。このころになると、バカンスの季節にヤングが仲間内で短い移動に、気軽なアシとしてアピーノを使っている現象が注目され、盗難防止システムやステレオ・オーディオを備えた「アペ・クロス」も発売された。
2013年にはレトロブームに乗った新モデルも登場
実際、2000年代を通じてカプリ島やポルトフィーノなどでハリウッド・スターらがパパラッチされる度、移動のアシとしてバカンスの小道具として、アぺも登場した。現場仕事からビーチリゾートまで、長きにわたるイタリアン・ライフの象徴として、そのイメージがインターネット時代に拡散されたアぺは、2013年、生まれ変わる。今度は観光地での簡素な人員輸送車として、東南アジア発のトゥクトゥクのライバルとなる「ヌオーヴォ・アペ・カレッシーノ」となったのだ。
車両と一緒にイタリアン美女が彫刻のようなポーズをとる公告ビジュアルは、イタリア風の「昭和ノスタルジー」の発露というかお約束でもある。ギリシャ・ローマ以来、ヌードが裸なのと似たような感覚で、セクシーポーズ無しなだけでも21世紀ぽいので、鬼首とったかのようなスマート・ロジックの方が場違いであることは覚えておこう。