どことなくヨーロピアンな雰囲気
インテリアは機能重視というよりも、センスのいいデザインでまとめられていた。シートは4ドアのR2ではシンプルなデザイン、2ドアのR1ではメーターまわりがタコメーターと燃料計を独立させたデザインを採用。シートデザインも異なるだけでなく、助手席のシートバックは前倒しさせてデスク風にも使うことができ、倒した後席とともに、よりパーソナルな使い方に配慮したものとなっていた。
デザインにザパティナス氏が関わったからという訳では決してないが、アルファロメオ、フィアットでの仕事を知っていた筆者は、個人的にこのR2、R1に非常に好意を寄せていた。当時(今も)大人ふたり+柴犬1頭が乗れればよい生活スタイルでもあったから、非ハイトワゴン系ではないR2/R1は欧州Aセグメントのコンパクトカーのフリをして(?)乗れる、とても貴重な存在だと思っていた。
マイチェンで「フツー」の顔に……
だが、2005年になり、4ドアのR2がフェイスリフトを受け、フロントデザインが、前年の特別仕様車「Custom」に採用された平凡なものとなってしまったほか、ウインドウ後方を切り上げて躍動感を演出(広報資料より)していたはずの後席ドアの窓ガラス形状が、パーティションをつけてガラス面先を拡大させた(視界を広げた)デザインにあらためられていた。
前文のトーンでもおわかりいただけると思うが、ドアパネル(何億円の投資になったのだったろう?)の変更はともかく、フロントマスクの変更はいかにも残念だったが、そこまでの必要があったとは、じつは今でも思えなかったりする。
とても出来の良いパーソナルカーだった
ところでR2/R1は、ややアップライトに座るシートポジションもあって見晴らしがよく、日常的に気軽に乗りこなせるクルマだった。R1にあっては、法規上は一応は4名乗車が可能なクルマだったが、いっそ後席は倒したままにし、2シーター感覚のパーソナルカーとして乗るのが楽しいクルマだった。
R2でいうと660ccのベースエンジン(46ps/5.9kg・m)のほかに、DOHC 16バルブ可変バルブタイミング(54ps/6.4kg・m)、DOHC 16バルブインタークーラー付きスーパーチャージャー(64ps/10.5kg・m)を用意。そして2WDと4WD、CVTまたは5速MT(スーパーチャージャーはスポーツシフトi-CVTのみ)とキメ細かなバリエーション展開まで用意していた。1年早く登場したR2で6年4カ月、販売期間は決して極端に短かった訳ではなかったが、もっと売っていてほしかったと思えたクルマだった。