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雪道でもグイグイ加速する4WDが生む勘違い! 事故を招く落とし穴とは

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TEXT: 斎藤 聡  PHOTO: スバル/雪岡直樹/Auto Messe Web編集部

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走破性の高さが逆に危険と隣り合わせになる雪道ドライブの極意とは

 4WDに乗ると、それまでツルツルと滑りやすかった道があっけないほど楽々と走れるようになります。「4WDは最強!」と、4WDさえあればどこにだって行くことができる気がするもの。冬道ではことさら頼もしい4WDですが、だからこそ注意しなくてはいけない落とし穴があるのです。それがブレーキです。

普通に走れてしまうからこそ注意したいポイントとは

 わりと多くの人が誤解しているのですが、4WDが優れているのはトラクション性能(=駆動力)です。4つのタイヤに駆動力が分散できるため、FF車、FR車などの2輪駆動のクルマと比べると倍近い駆動力が得られるのです。けれどもブレーキは駆動方式に関係なく4つのタイヤにかかりますから、駆動方式の差はほとんどありません。フォレスターの雪上走行

 2輪駆動車だと発進するときから慎重にアクセルを踏み込み、ホイールスピンが起こらないように運転します。最近ではほとんどのクルマにトラクションコントロールや横滑り防止装置が装備されているので、クルマのほうでタイヤの空転を抑えてくれます。シトロエン・ベルランゴのグリップコントロール

 ですから滑りやすい交差点からの発進でも、ひと昔前よりもずっと楽になりました。とはいっても2輪駆動だと加速はかなり緩慢になり、そのため嫌でも路面の滑りやすさを意識させられます。ところが4WDだと、そんな滑りやすい路面でもわりとイージーに走り出すことが可能に。そのため路面の滑りやすさに対して、どうしても意識が薄くなりやすいのです。

わずかな車速の違いでも雪上路では速度を抑えることが鉄則

 ちなみに速度(車速)が倍になると、制動距離は約4倍 (運動エネルギーは速度の倍数の2乗に比例する)になります。例えば、20km/hで制動距離が15mになる凍結路面の場合、速度が倍の40km/hになると制動距離は計算上60mになります。ではこんなケースはどうでしょう。速度が1.2倍になったら制動距離は?

 答えは、1.2倍の2乗なので1.2²=1.44倍になるわけです。速度20km/h時の制動距離が15mの凍結路だとすると、2割速い24km/h時の制動距離は15m×1.44=21.6mとなります。誤差のような速度差なのに制動距離は約10mも長くなってしまうのです。スバル・アウトバックの雪上走行

 これはあくまでもドライ路面を想定した計算上の話で、リアルワールドではもう少し制動距離は短くなるだろうし、そもそも路面状態によって制動距離は大きく変わりますから、この数字はあくまでも参考でしかありません。ただ、ウエット路面や雪道などの滑りやすい路面では制動距離が、ほんの少しの車速の違いでもさらに大きく変わってしまうのがわかると思います。

 ちなみに、あくまでも参考値ではありますが、日本自動車タイヤ協会の資料によるとドライ路面の制動距離と比較して雪上の圧雪路で3.2倍、凍結路で5.4倍にそれぞれ制動距離が伸びるというデータがあります。つまり、滑りやすい路面でも簡単に発進でき車速を乗せることができる4WDは、ことさら車速に注意深くなる必要があるということです。

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