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どっからどう見ても「路線バス」だが中身はサウナ! その名も「サバス」の衝撃

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 高原義卓

  • 車両貸し出しサービスにはバス停、ととのいチェア、水風呂などもセット
  • 移動可能なサウナバス、その名も「サバス」
  • 神姫バスの大型路線バスを再利用
  • 株式会社リバース代表の松原安理佐さん
  • 車内の前半分は休憩室
  • 後列のサウナは最大12名が座れる
  • 薪ストーブを使うフィンランド式サウナ
  • バスの中でサウナという、ちょっと不思議な体験
  • つり革タイプの温度計
  • ボタンを押すとロウリュがサウナストーンに流れる仕組み
  • 水場の近くなら大自然を水風呂にするのもまた一興かも

ストレスフルな現代、誰もが癒しや発散を求めている

 世の中の情勢が刻々と変わり、何かとストレスが貯まりやすい現代。たまに現実から目を背けたいときが、皆さんもありますよね? その発散方法はさまざまで、「あまり身体に負荷を掛けずに心身ともにスッキリしたい」と線引きすれば、銭湯、マッサージ、ウォーキングやランニング、スポーツジム、岩盤浴、ヨガやストレッチなどを思い浮かべるのではないでしょうか。流行り廃りはあれど、どれももはや一般化しているといっていいでしょう。いずれも求められるのは「恍惚感」と「リラクゼーション」。身も心も解放されて「明日も頑張ろう」となれば大成功というわけです。

老朽化した路線バスを改造・再活用するプロジェクト

 こうしたストレス発散法として今ブームとなっているのが「サウナ」。ひと昔前まではオジサンの社交場であり、我慢大会として揶揄している人も多く、ネガティブなイメージも強かったのですが、TVドラマをきっかけに認知度が急上昇。

 サウナもこれまでの高温、低湿度のタイプだけでなく、温度が低め、湿度高めの入りやすいタイプ、水を使ったミストタイプなど、さまざまスタイルが登場。室内も岩盤浴のように暗めの照明で落ち着きのあるものも増え、健康や美容に敏感な女性層から受け入れられたことで人気に拍車をかけました。

移動可能なサウナバス、その名も「サバス」

 さらに「サウナイキタイ」という専用の情報サイトも誕生し、2017年にはサウナフェス(日本サウナ祭り)が長野で開催。「サウナー」(サウナ愛好家の総称)や「ととのう」(サウナにルーティーンで入ることにより得られるランナーズハイのような状態)という新語も生まれるなど、ブームが本物であることがうかがい知れます。

 また、コロナ禍で人気に拍車がかかったアウトドアでの新たな楽しみ方として、持ち運び可能な「テントサウナ」なるものも登場するなど、さらなる広がりも見せています。

 今、勢いのあるサウナブームに注目したのが、兵庫県南部でバス事業を展開する「神姫(しんき)バス」。2022年2月、老朽化した路線バスを改造した移動できるサウナバス「サバス」を発表しました。今回は3月4日開催のお披露目会で、超ユニークなバスを体験してきました。

車両貸し出しサービスにはバス停、ととのいチェア、水風呂などもセット

外観はサウナーの妄想をかき立てる電光表示板やサイン類で演出

 発起人である松原安理佐さんが掲げるのは「バスのリブランディング」。人口減に加え、新型コロナウイルスの影響で利用の低下が進むなか、人を運ぶ以外でバスを活用した新しいビジネスができないか、と数年前から模索していたそうです。

 そのなかで目に止まったのがフィンランドを走るサウナバス。「これを日本でやりたい」と社長に直談判し、アイデアを事業化。自らも経産省の出向企業扱いで「株式会社リバース」を設立して先頭に立ち、完成にこぎつけたそうです。つまり、このプロジェクトはリバースが事業として進め、神姫バスはパートナーとして協力した、という表現が正しいようです。

株式会社リバース代表の松原安理佐さん

 とはいえ、バスの知識はあっても、サウナの知識は初心者レベル。そこで協力・提携をお願いしたのが前述したサウナ情報サイト「サウナイキタイ」。強力なパートナーを得たことで、バスにサウナ感を上手にミックスできたのではないでしょうか。

神姫バスの大型路線バスを再利用

「サバス」と名付けられた移動型サウナバス。車両は廃車予定だった神姫バスの大型路線バスで、外観は定期運行時から大きく手を加えてはいませんが、正面の電光掲示板を「蒸37サウナ」、側面の行き先表示はサウナの温冷交代浴の一連の流れとなる「サウナ発→水風呂→外気浴→ととのう行き」に変更。さらに水風呂をイメージしたブルーのラインやサウナを思い起こさせるサイン類を追加するなど、サウナーの妄想を掻き立てる装飾、加飾が施されています。

随所にサウナに関連した洒落がきいている

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