カンナで削るという荒業も……
とはいえ街乗りで熱を極端に入れず減らすのは、時間と距離を考えればあまりにも非現実的。そこで生まれたのが新品タイヤを『削る』という手段だ。駆動輪をジャッキアップしてギヤを入れてタイヤを回転させ、そこにカンナなどを当て温度を上げすぎないよう注意しつつ、ブロックをベストと思われる高さまで削り落としていく。
車種やコースによって違うので一概にはいえないものの、新品と削ったタイヤでは1周につき1秒差なんてのもザラ。想定される路面コンディションに合わせて、タイヤを何パターンか『作る』ケースもある。公認レースではタイヤの加工は等しく禁止されているが、以前は加工と自然な摩耗の判別が難しいこともあり、グレーゾーンとして半ば黙認されていた部分もあった。
だが近年は参戦コストの引き下げなどの理由から、決勝レースは新品タイヤしか使用できないなど、レギュレーションが改定された例もあるという。そうした決まりごとがなければタイヤの加工は自由だし、最終奥義といえるほどタイムアップするのも事実だが、その恩恵を受けられるのはごく一部の上級者だけ。大半はタイヤを削るよりガンガン走り込んだほうが、よほどタイムアップするし腕も磨けるはずだ。