日本で名実ともに「輸入車No.1」となっている「メルセデス・ベンツ」
2021年のブランド別輸入車新規登録台数の1位はメルセデス・ベンツ(5万1722台)だった。2位のBMW(3万5905台)、3位のVW(3万5215台)を押しのけてのこと、しかも7年連続の首位。数ある輸入ブランドのなかでも、メルセデス・ベンツの日本市場での人気がいかに高いかがわかる。
先ごろ、本社では社名を「ダイムラー」から「メルセデス・ベンツグループ」に変更する発表があったばかりだ。日本法人はもともと(2007年からは)「メルセデス・ベンツ日本」としていたから、わかりやすくなったといえばそうかもしれない。日本では「ベンツ」で広まったのは確かだが、イーグルスの大ヒット曲「ホテル・カリフォルニア」の歌詞に出てくるのは「Mercedes-Benz」だったし、最新のメルセデス・ベンツのインフォテイメントシステム「MBUX」は、音声認識キーワードアクティベーションがオンになっていれば「ハロー、メルセデス!」と声をかけることで反応してくれる。
バブル前後の日本で売れまくった「W124」
ところでディーラーのショールームに並ぶ最新のメルセデス・ベンツはどれもステキなクルマばかりだが、ちょっと古めの、最近では「ネオクラシック」、「ヤングタイマー」などとして括られる1980~1990年代(もちろんそれ以前の60~70年代も!)のクルマには、チャーミングな名車が揃っていた。
「W124」(と「W201」)はその筆頭だ。W124の先代にあたるのは「W123」で、その前は、最初に「コンパクト」と呼ばれた縦目の「W114」。W123も同様に「Sクラス」に対してコンパクトと呼ばれたモデルで、初代Sクラス(W116)と同世代のクルマだった。
そしてW124は、日本市場へは1986年から導入が始まった。その前年の1985年にメルセデス・ベンツ初の5ナンバーモデルだった「190」シリーズ(W201)が投入されており、新世代のメルセデス・ベンツ(「W126」型Sクラスの日本市場導入は1981年のこと)として、飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を博した。
「ミディアム」から「Eクラス」に改名
190シリーズがあったことから、このW124は当初は「ミディアム」の名で呼ばれ、とても個人的な印象でいうと、中庸のいかにも気勢を張らないこの呼び名に好感を抱いていた。だが、1993年のマイナーチェンジを機に「Eクラス」とややビジネスライクなアルファベット表記のモデル名が与えられるように。
さらに1994年からからはメルセデス・ベンツのモデル名表記の変更に則り、モデル名の「E」を頭に置き、それに続けて排気量を示す3桁の数字、さらにボディバリエーションという表記に。たとえばエステートワゴンだったら、それまでは「300TE」と表記されていたのが、「E280ステーションワゴン」といった具合に。
「ミディアム」と言えなくなった時と同様、記号めいていたところがよかったTEが単にステーションワゴンかぁ、普通だよなぁ……などと思ったものである(あくまで個人の感想です)。