国産車とも張り合えるユーティリティの高さが魅力
今、アウトドアファンに密かに人気急上昇中なのが、フレンチクロスオーバーSUVの「シトロエン・ベルランゴ」と「プジョー・リフター」だ。両車はプラットフォームなど基本部分を共用する兄弟車でありながら、独自のキャラクターによってそれぞれの個性が明確化されている2台である。
最大の共通点は、4ドア+大きなバックドアと両側スライドドアを持つ2列5人乗り仕様というあたり。なお、1.5Lクリーンディーゼルターボエンジン+8速AT、グレード別のタイヤサイズ、そしてバックドアに独立して開閉できるガラスハッチを備えている点。そして、フランス車としては充実した先進運転支援機能なども共通だ。
広い室内空間と至れりつくせりの豊富な収納
ではこの2台、アウトドアの実力はいったいどうなのだろう。ズバリ、これまでのフランスの実用車からは想像もできない適性の持ち主と断言できる。
なにしろ、ほぼ両車同様のスペースを持つラゲッジルームは、後席使用時でも奥行き1010mm、幅1020mm、高さ1000mmという、とくに全高の高さを生かした天井高の高さが強みの大容量を誇るのだ。具体的には680Lもある。さらに、わずかな角度が付くものの、3座3分割式の後席はほぼフラットに床下へ格納でき、拡大したラゲッジルームの奥行は驚愕の1850mmに達するのである。これなら身長180cmを超える高身長の人でも、真っすぐに横になれるというわけだ。
アウトドアではさまざまなアウトドアグッズを持っていくことになるが、バックドア側の天井にはフタ付きのリヤシーリングボックス(カングーなどでもおなじみの天井収納)が備わり、運転席まわりの豊富な収納とともに、車中泊の際も小物の置き場所にはまったく困らない。
純正用品のベッドキットが便利すぎる
だが、それだけに終わらないのがベルランゴとリフターのアウトドア適性の高さであり、人気のゆえん。そう、「アグレ」というブランドのベッドキットが、ベルランゴとリフター用の純正用品(日本国内企画)として発売されているのだ。
受注生産で価格は25万800円とかなり高価だが、フローティングベッド状態になるマットレスは幅1200mm、全長1800mm、ベッド部分の天井高890mm(最大値)と、セミダブルベッドと同じ幅があるのだから、大人2名でもそれほど窮屈な思いをせず、仮眠、就寝できるのである。
しかも、ベッドキットオリジナルフロアとベッドマットの間には270mmの空間ができ(奥行きは1850mm)、車内をベッド化しても荷物の収納場所に、これまたまったく困らないのである。
カーサイドタープもアップデート
加えて、アウトドアや車中泊で大活躍してくれる純正カーサイドタープの進化版(Ver.2)が、2022年2月に発売されているのだから完璧だ。具体的には、Ver.1よりタープの室内空間が拡大され、メッシュウインドウを追加し、ルーフに水がたまりにくい構造になるなど、使い勝手がさらに良くなっているというわけだ。
走破性を求めるなら「リフターGT」
クルマとしての基本性能でも、最低地上高は180mmとクロスオーバーSUVとしてはけっこう本格的。リフターGTグレードには、FFながらヒルディセントコントロール付き(下り坂で速度を5km/h以下に抑えてくれる)アドバンスドグリップコントロールが付くなど、悪路の走破性もなかなかなのである。
日本のアウトドアシーン、キャンプ場では国産のSUVやワゴン、ミニバンばかりなだけに、こうしたオシャレな輸入フレンチクロスオーバーSUVが目立つことは間違いなし。デザインの独創性ならベルランゴだが、SUVテイストの強さではリフターということになるだろう。
ただし、あれば絶対に便利な両側スライドドアは、両車全グレードともにノンパワー。国産ミニバンなどの、リモコン操作やハンズフリー開閉もOKなパワースライドドアに慣れている人にとっては、開閉の重さ、手間は覚悟……である。まっ、アウトドアライフの充実度には直接、関係ないですけど……。