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「特別感」がないことが「本気の印」! トヨタがEVの「bZ4X」に込めたメッセージを走って感じた

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TEXT: 斎藤慎輔(SAITO Shinsuke)  PHOTO: 増田貴広

2L NAスポーツカー並みの加速をラクにこなす

 勘違いしてほしくないのは、遅いというわけではないこと。発表データでも、4WD仕様の0-100km/h加速は7.7秒だ。これに似たようなエンジン搭載車を探せば、たとえば先代のトヨタ86のMT仕様あたり。つまり2L自然吸気エンジン搭載の量産スポーツモデルくらいの加速を、アクセル一踏みで可能にしている。それもラクに超スムースに。

 ただし、FFに乗り換えると、150kWのフロントモーターを前輪だけで受け止めるのはやはり厳しいらしく、ちょっとした加速の際にもトラクションコントロールが介入しがちとなる。前輪の駆動トルクの変動幅も大きいことから、加減速の際のピッチングも大きめとなる。アクセルペダルだけでの減速のコントロールができる「回生ブースト」をオンにしたドライブの際も、ここは気になったところだった。

4WDの0-100km/h加速は7.7秒と十分以上に速い

操縦性の粗さを削ぎ落とした4WDがイチオシ

 ハンドリングは、ソフトで乗り心地重視と思われた足のわりにロール感が少ないのは、まさに謳い文句通り。とくに4WD仕様は、操舵に対して素直にノーズの向きが変わり、その後もリヤ側の適度なトラクションで、安定性を保ちながら狙ったラインへと導いてくれるものだった。ただし、グイグイと曲げていくようなものではなく、ドライバーに諸々の操作を強く意識させることのない自然な動きをもたらしている。

SUVの腰高感を感じさせない自然な運転姿勢

 ここでもFFは、前輪が駆動力を持て余し気味。それゆえに旋回中の挙動変化も大きめとなる。今回の走行シーンにおいては、速く走らせることに興味がなくても、どこにも荒さを感じさせない4WDのほうが圧倒的に印象がよかった。さらに言えば、サーキットのように自ずと前後、左右ともにGが高くなるような環境では、20インチタイヤ仕様のほうが剛性感や安心感ある手応えといった面で好ましい。スポーツ性というより、どっしりとした安定感という意味での好感度である。

ロングホイールベースゆえ後席の空間にも余裕がある

トヨタBEVの第一弾らしい超バランス型の仕上がり

 サーキットでの試乗ということで、スポーツ性にも注力したモデルなのかと想像していたのだが、むしろ走りにおいては超バランス型で、極めて真っ当な扱いやすさ、快適性を追求したものだった。そこにはバッテリーの信頼性、寿命を含め、当然としてトヨタならではの信頼性もしっかりと携えてきている。

 考えてみれば、トヨタのBEVの投入はこのあと数多くスタンバっていることは、すでに公表済み。第一号はしっかり受け入れてもらえるものから。飛び道具はいずれ、といったことなのかもしれない。

bZ4Xプロトタイプのスペック

 

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  • 他社BEVでありがちな強い加速は感じさせない
  • 4WDの0-100km/h加速は7.7秒と十分以上に速い
  • SUVでありながら旋回時のロール姿勢が安定しているのはBEV専用プラットフォームの強み
  • 協業で生み出されたBEV兄弟車、トヨタbZ4Xとスバル・ソルテラ
  • RAV4と類似したシルエットだがホイールベースはじめボディサイズは大きく、低くなっている
  • FF車はフロントモーター出力150kW、4WDは前80kW/後80kW
  • 現車の円形ステアリングホイールだとメーターが視認できない点が残念
  • シフトスイッチはリングタイプ
  • SUVの腰高感を感じさせない自然な運転姿勢
  • ロングホイールベースゆえ後席の空間にも余裕がある
  • リヤシートをフラット格納すると
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