ミニバンのバックドア開閉しやすさが大事
日常生活での重い荷物の出し入れ、アウトドアでのかさばるグッズの出し入れなどでは、やはりラゲッジの開け閉めが楽で快適なほうがいい。セダンのトランクはどのクルマも同じようなものだが、ワゴンやSUV、ミニバンともなると、ラゲッジの開け閉め性の良否はそれぞれだ。
とくにボックス型ミニバンともなると、巨大なバックドアを開けるのが手動では重く、また、バックドアを全開にするには車体後部に約1mのスペースが必要と、けっこう面倒だ。後ろのクルマ、あるいは壁ギリギリに止めてしまって、バックドアを開けるために、わざわざクルマを前に出す、なんてこともありがちなのである。
ステップワゴンのわくわくゲートは画期的だった
そんなMクラスボックス型ミニバンのバックドアの開閉性に大きなアイデアを盛り込んだのが、間もなく新型の6代目に切り替わる5代目ホンダ・ステップワゴンだった。わくわくゲートのサブドアによって、車体後部にわずかなスペースしかなくても、横開きのドアから荷物の出し入れが可能となり、また人や犬の出入りもできたのである。
だが、新型ステップワゴンではわくわくゲートが廃止され、一般的なバックドアになってしまった。ただし、スパーダ限定で、パワーバックドアのリモコン操作によって、任意の位置で止められるようになっている。わくわくゲートほどではないにしても、ボックス型ミニバンのラゲッジの開け閉め、荷物の出し入れ性は良くなっているはずだ。
ウインドウ部だけが開く日産セレナ
ステップワゴンのわくわくゲートとは別の方法で、ボックス型ミニバンの荷物の出し入れ性を改善したのが、現行型日産セレナだ。
デュアルバックドアと称する機構を採用し、バックドア全体を開けず、リヤウインドウだけが開けられる、日産得意のアイデア(過去ステージアなどにもあった)を盛り込んでいるのだ。開口部が高めの位置になり、重い荷物の出し入れ性はよくないが、コートなど軽いものなら出し入れ楽々。これはこれで重宝しそうなラゲッジの開け閉め方法のひとつと言っていい。
バックドアのリヤウインドウだけでも開けられるクルマとしては、トヨタ・ランドクルーザープラド、BMW3/5シリーズツーリング、シトロエン・ベルランゴなどがある。国産中古車なら日産プレサージュ、ステージア、パオ、テラノといった日産車軍団に搭載された。
非電動でも任意の位置で止められるトヨタ・ノア&ヴォクシー
しかし、同クラスで先に発売されたトヨタの新型ノア&ヴォクシーは、先代がライバル3車の中で唯一、フツーにしか開かないバックドアだったものの、新型ではなんと電動・非電動ともに、任意の位置でバックドアを止められる機構を”からくり”として装備。
少しだけ開けた状態でも、バックドアの横からラゲッジスペースに大人がアクセスし、荷物を出し入れすることが可能。これを非パワーバックドアでも可能にした点は、おそらく新型ステップワゴンより優れている点と評価できるのだ。
それだけじゃない。ボックス型ミニバンのバックドアは、その高さ、大きさから、開ける際、パワーや手動を問わず、開けながら人が後ろに下がる必要がある。うっかりしていると、パワーで開くと、バックドアが体に接触……なんてこともある。しかし新型ノア&ヴォクシーのパワーバックドアは、そのスイッチがあろうことかボディサイド後方にあり、開けようとしている人がボディサイドに立つため、開閉の際、人にバックドアが干渉しないのである。このアイデア、これまであるようでなかった発明と言っていい便利さがある。