競技でも活躍したライトウェイトスポーツの代表格
一部の国ではデリバリーが始まったと伝えられる、約15年ぶりに復活したホンダの名車インテグラ。6速MTや純正でLSDを搭載するなどスポーティさは感じるものの、現在のところ『タイプR』設定のアナウンスはなくボディも4ドアのみ。また、残念なことに日本へ導入される可能性は、現時点では限りなく低い。そこで、あらためて注目したいのが旧々型のDC2と旧型のDC5だ。
いずれのタイプRもライトウェイとスポーツの代表格として、さまざまなモータースポーツや草レースで大活躍した。そのポテンシャルは現在においても通用するのか、また注意すべきポイントはどこかなどを考察したい。
DC2型は純正部品の製造廃止がネックに
まずは1995~2001年に生産されたDC2のタイプRから。エンジンはピストンやカムなどの変更で200psをマークし、高出力NAの基準といえる1L当たり100psを大きく凌駕する。専用エアロパーツやレカロ製のバケットシート、チタン削り出しのシフトノブなども装備され、軽量化によって車重は3ドアで1060kg~1080kg。この数字を見るだけで戦闘力の高さは分かるだろう。
また98スペックと呼ばれる後期型では、ホイールが15インチから16インチに変更され、高回転仕様のエキゾーストマニホールドやブレーキの容量アップなど各部がさらに進化。スポーツ走行においては最新のクルマに引けを取らないどころか、今もなおアドバンテージを有する名車であることは確実だが、ネックになるのは経年劣化とパーツの欠品による価格の高騰だ。
マフラーや車高調といったチューニングパーツは別として、廃盤の純正パーツが多く維持にはそれなりの覚悟がいる。心臓部のB18Cエンジンもシビックなどに載せ替えるのが定番で、走行距離が10万kmを超えているにもかかわらず50万円オーバー、なんてケースも珍しくないほど高値で取引されているのが現状だ。
車両価格も200万円が最低ラインで程度さえよければ400万円、なかには500万円なんて中古車もチラホラと見当たるほど。最終型でも生産から20年を超えているクルマだけに、そんな値段で買うのはさすがに戸惑ってしまうだろう。
まだ比較的安価に手に入れられるDC5型
では後継モデルのDC5はどうか。価格だけでいえばDC2より圧倒的に安上がりで、走行距離によっては130~150万円台で見つかる。生産は2001~2007年なので決して新しいとはいえないが、純正パーツや各部の劣化に関してもDC2よりは有利なはず。
エンジンは2LのK20Aで220ps/21kg-mの高出力、6速MTやブレンボ製のブレーキキャリパーも魅力だ。ただしフロントの足まわりがダブルウィッシュボーンからストラットに変わったことや、車重が1170~1180kgとDC2よりだいぶ増えたことに対する不満もあって、初代ほどの爆発的な人気とはなり得ず、それは中古車の相場へも明確に反映されている。
もっとも速さでいえば当時は世界最速のFFと高く評価されていたし、サーキットで不評だった足まわりも後期型になってからは改善された。ホンダの主催によるワンメイクレースが2002年から2007年までDC5で行われ、パーツの開発やセッティングが熟成し一般のチューニングカーに還元されたことも大きい。
カスタムやメンテナンスの費用をなるべく抑えたいなら、年式も基本設計も新しいDC5、より官能的なエンジンやボディの軽さを求めリフレッシュの予算に余裕があるならDC2。どちらを選んでも日本では販売されないであろう新型インテグラや、その他ライバルとなるスポーツカーに実力は決して負けないはずだ。