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これぞニッポンの「粋」! もうそこにいるだけで風格が漂うセダン5台

エレガントな佇まいが印象的だったセダン

 粋だったセダン、姿のよかったセダン。こう書くと「はい?」と頭の上に?マークを浮かべる人もきっとおられるかもしれない。“粋”とか“姿”というと、よほど特別な基準に基づいていない限り定量的でも合理的でもないから、どういうことかイメージが湧かせにくいかもしれない。強いていえば“カッコよさ”とか“個性的”の変化球版といったところか。従って、多分に主観を元にしたチョイスではあるが、今回は、そういうテーマに基づいた5台のセダンを取り上げてみたい。

ユーノス800

 まず1台目はユーノス800(1993年)だ。このクルマはユーノス・チャネルのフラッグシップセダンとして登場したモデルだった。カタログを開くとまず“十年基準”の文字が目に入ってくるとおり、10年先の品質、性能を見据えた開発が行われた。

 エンジンには、当時としては画期的だった低圧縮比と高膨張比を実現したミラーサイクル技術を、新開発の吸気を2倍に圧縮するリショルムコンプレッサーとともに投入。2.3Lで3Lクラスのトルクと2L並の低燃費を実現させていた。

 また高機能ハイレフコートと呼ばれた4層からなる高品位な塗装も施されたほか、すべてのピラーへの発泡材を注入、サッシュのドアシールの3重化などで静粛性の高さにもこだわりがあった。さらに何よりも、先行して登場していたユーノス500の流れを汲む穏やかなスタイリングは、上級クラスのセダンながらむしろ控えめなほどで、そのエレガントな佇まいがかえって印象的だった。

ホンダ・アコード(4代目)

 次に1989年に投入された4代目ホンダ・アコードのセダンも、いかにも品のある佇まいのクルマだった。当時の第一印象は「リトラの3代目アコードからコンサバ路線に逆戻りしたのでは?」とも思えたが、クーペ、ワゴン(いずれもアメリカ生産車だった)など派生モデルが登場したが、いずれも上品さが崩れないところからも、最初のセダンのデザインのポテンシャルの高さに気付かされた……そんな風だった。

 今の安全基準では不可能だが薄いフロントノーズと低いボンネット、少しE30 BMW 3シリーズを思わす明るいキャビンまわりなど、このころのほかの日本車とは明らかにテイストが異なる、しっとりとした味わいが良かった。シンプルなデザインのインパネも今では懐かしい。

日産マキシマ

 1988年に日本国内でも発売された日産マキシマも忘れられないセダンだ。北米仕様と共通の全幅が1760mmという3ナンバー専用車として登場。搭載エンジンは3LのV6(VE30DE型、195ps/26.6kgm)とした、クラスとしては上級車に属するセダンである。だが、ことさら豪華さやクラス感を主張するような立派なフロントグリルをかざす訳ではなく、外見はごく大人しくシンプルなもの。

 インテリアも同様に、いかにも豪華さよりもプレーンさを感じるほどだったが、豊かなボディサイズとFFの合理的なパッケージングとで、室内空間(やトランク)はじつに広々としていた。セダンとしての実用性は第一級のもの。超音波ソナーで路面の凹凸、うねりを感知し乗り心地を整えるDUET-SSなるサスペンションも設定され、スタイリングに見合うおおらかな乗り味も実現されていた。

日産プリメーラ(3代目)

 日産車ではもう1台、3代目プリメーラのセダンも挙げておきたい。1、2世代目とは打って変わって、じつにアートなスタイリングを纏ったこの世代のプリメーラは、まるで走るオブジェのような気高さが過ぎたせいか、セールス的には決して成功したモデルとは言えなかった。

 だが、明らかに日本人の感覚とは別のセンスでまとめ上げられたことが伝わるスタイリングは、ほとんど輸入車、それも相当にアヴァンギャルドな領域といっていいほどだった。

 インテリアも同様で、センターメーターを配したインパネなどデザインオリエンテッドで、各種スイッチが並ぶセンターパネルは、パームレストがないため操作性に難があったほど。小振りのサイドミラーもいいデザインだったが、車両感覚が掴みづらかった。しかし、それらを圧してでも乗りたいと思わせられる、セダンにして超個性的なクルマだった

トヨタ・マークII(3代目)

 そしてもう1台、本稿のテーマに則して取り上げたいのが、年代を少し遡って3代目マークII(1976年)だ。“質を越えて《味》の領域に至る。The Quality Car-NEWマークII”とカタログでも謳われていたが、当時ネオクラシックと呼ばれやスタイリングは、2灯式のヘッドライトと独立したフロントグリルがじつに印象的だった。

 ハイオーナーカーながら決してライバル車(=ローレル)を打ち負かそう……そんな風ではない、わが道をゆくデザインが与えられていた点が持ち味だったと思う。ハードトップがコンパクトなキャビンを強調したスタイリングだったのに対し、セダンはごくオーソドックスなプロポーションながら、ハードトップと共通のマスクが与えられたことで、このクルマもまた優雅な佇まいを特徴としていた。

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