ツートーンのボディメイクが今カスタム手法としてリバイバル
ツートーンカラーを見て現代のユーザーはどう考えるだろう? 1980年代のクルマを現役で見てきたベテランユーザーには懐かしく、当時を知らない新しいファンには斬新に見えるのではないだろうか。そんなツートーンカラーが近年、注目されている。あらためてツートーンについてチェックしていくこととした。
そもそもクルマのボディに対して2色のカラーを塗り分ける「ツートーンカラー」の歴史は古い。クルマのかなり初期のころからある手法だが、国内のユーザーに印象深いのは’80年代のクルマたちだろう。当時はボディデザインが現代に比べてまだまだシンプル(プレスラインの処理が比較的少ない傾向)だったこともあり、ボディに変化を付けるにはペイントによる塗り分け=ツートーンが効果的だったと想像できる。
しかもスカイラインからソアラ、マークⅡ、レビン/トレノにいたるまで、上級セダンはもちろんスポーツモデルにまで採用されていた経緯があるのだ。当時はツートーン=高級というイメージがすっかり定着していたことがうかがえる。
その昔はツートーンボディ=「おじさん」の象徴であった
当時のツートーンカラーのクルマを見ると象徴的なのはサイドモールだろう。サイドボディの下方向に前後に走るモールが施されている。ここを境にして上下を塗り分けるツートーンが主流になっていた。レッドの鮮烈なボディにブラックの下まわり、さらにはシルバーとゴールドの組み合わせなど、高級路線やスポーティ路線などクルマのイメージに合わせたカラーコンビネーションがもてはやされた。同時期に販売されていたモノトーンのモデルが少しチープに思えるほどツートーンのインパクトは強かった。
しかし、ボディカラーにも大きな流行廃りが起きるクルマの世界、ある時期から人気は下降線を描き、若いユーザーからはツートーン=オジさんクルマ的な扱いを受けるにいたり、多くのメーカーが採用しなくなっていく。そこから近年まではバンパーやドアミラーなどを含めてボディ同色でコーディネートするモノトーンのモデルが主流となっている。これも時代に合わせたボディカラーの進化&変化の歴史と言えるだろう。
今SUVなどでフェンダーアーチなどを塗り分けるスタイルが人気に!
しかし、近年になってあらためてツートーンに注目が集まっている。そのひとつがSUVの隆盛があるだろう。欧州モデルなどには早くから足もとやフェンダーまわり、バンパーなどをブラックアウトするコンビネーションカラーが数多く取り入れられ、SUVといえばフェンダーまわりをブラックアウトするというイメージが定着していく。
国産モデルでもすでに多くのモデルが採用しているのはご存じの通りだ。カラーリングによって新しい価値観をアピールするにはツートーンは都合が良かったのだろう。また、かつてあったツートーンの古くささを感じない世代が、おもなクルマの購買層になっているのも要因のひとつだと予想される。
カスタム界ではエアロパーツの塗り分けが定番化
そんななかツートーンはドレスアップの世界でもアクセントになる手法だ。実際にはボディの上下段で色を塗り分けるというよりも、エアロパーツを単色で塗るのではなく複数のカラーで塗り分け処理だ。リップスポイラーなどの小振りなエアロで存在感を強調するためには、部分的な差し色を加えるのが効果的。
サイズ以上の存在感をアピールできるため多くのユーザーにウケて、今では定番手法として取り入れられている。そのためエアロパーツをデザインする際には、あらかじめ細かなプレスラインを施して“塗り分け前提のデザイン”を投入するケースが多い。エアロパーツをボディ同色に塗るのではなく、一部分に差し色としてアイキャッチとなる塗装を施すのが流行となっているのだ。
塗り分けカスタムは塗装のほか手軽なカーラッピングも人気
さらに塗装よりも手軽なラッピングの進化も、ボディカラーにおいて新しいチャレンジができる下地となった。飽きたら剥がして元に戻せるという安心感もあり、少し攻めたカラーリングを施すケースも見かけられるようになっている。部分的な貼り分けを施してボディに変化を付ける手法もすでに確立。
ただし現代のクルマはツートーンの境目として利用できる明確なプレスラインがあまりないので、ルーフ部分のみや、ピラー&ガラスエリアから上、さらにはボンネットの貼り分けなど、パートを区切ったパネルごとの貼り分けになるケースが見られる。ドレスアップ手法としてストックのクルマには無い魅力を引き出せる手法としてもてはやされていると言っていい。
時代は繰り返すとは言うが、現代のクルマで採用されることが多くなっているツートーンカラー。ほかとは違う個性的な外装や高級感など、ツートーンによって得られる満足感も多い。新しい時代のツートーンを愛車に取り入れてボディカラーで楽しもう。