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カーボンはカスタム好きの必需品! レースでも当たり前となっている定番素材のメリット・デメリット

カーボンパーツを装着したNSX

モータースポーツ業界では当たり前の「カーボン」

 レーシングカーをはじめ、モータースポーツの世界では至るところにカーボンが用いられている。カーボンはその軽さと強さから、競技やチューニングカーの世界まで使われているが、どんなところをカーボンにするとどう効くのかだろうか。

カーボンにはウエットとドライの2種類がある

 カーボンとは炭素繊維を使った複合素材のこと。まずウエットとドライに大分される。チューニングカーのパーツで多いのはウエットカーボン。カーボン製ボンネットで10~20万円くらいの価格は、まずウエットカーボン製で間違いない。このウエットカーボンはレースの世界のカーボンとはちょっと異なる。

 基本的にFRPの親戚で、FRPはガラス繊維のシートをプラスチック樹脂で固めたもの。ウエットカーボンは炭素繊維のシートをプラスチック樹脂で固めたもので、ほぼ同じものとなる。強度も重さもFRPとほぼ同じ。見た目がいかにも工事中のようなFRPに比べて、美しいカーボンが見えるので見栄えがよく、カーボン柄が見えるようクリア塗装で使うことが多い。塗装してしまったら、ぶっちゃけFRPととくに差はない。価格はガラス繊維よりカーボン繊維が高い分だけ高価になる。

 対するドライカーボンは、炭素繊維に樹脂を染み込ませたものを重ねて、高温高圧で焼き上げたもので軽量かつ高い強度を持つ。F1を代表とするフォーミュラカーは、現在は多くがカーボン製のモノコックを採用。風呂桶のようなものをドライカーボンで作り、そこにエンジンを載せ、サスペンションアームを生やしているのだ。

 その製作には、作るものが入る圧力釜が必要。フォーミュラカーのモノコックを焼くとなると、ちょっとした宇宙船のような大きさの圧力釜が必要になり、その設備コストも高い。カーボンも数多くを積層していくので、製品価格もグッと高くなる。

 しかし、軽量で高強度の素材としての魅力に満ちていて、宇宙産業では必須の素材。打ち上げ時の重量を少しでも減らしたい人工衛星は、ふんだんにドライカーボンが用いられている。ちなみに人工衛星のドライカーボン製造業者によると、自動車のアフターパーツとしてボンネットの製作も行っているが、1枚200万円でも赤字になるほどお金がかかるのだという。

ドライカーボンは高額でも軽量なのが魅力だが

 そんなドライカーボンの魅力は硬さと強さ。同じ強度を出そうと思ったら、金属に比べて圧倒的に軽くできる。なので、チューニングカーでドライカーボン製のドアにすることで、片側20kgもの軽量が可能になったりする。

 しかし、金属に比べると硬さはあるが、壊れるときは割れて折れてしまう。ドアで使うなら、ロールバーからのサイドバーは装着しておきたい。

 GRヤリスではドライカーボンとは微妙に異なるが、カーボン樹脂製のルーフにすることで、クルマの高い位置を軽くした。わずか数kgでも高い位置の軽量化は、振り返すときなどに体感できるほどの効果があるのだ。

 チューニングカー向けとしては、車種によってはアフターパーツでカーボン製ルーフがリリースされている。注意点としては日常生活には困らないが、屋根の張り替えは事故車扱いになるので、売却時の査定にマイナスな影響がある可能性も。もっとも、そこまでチューニングしていたら、チューニングカーとしてパーツも含めて評価してもらえるとプラス査定も期待できるが……。

 同じようにボンネットも比較的高い位置にあり、面積が大きく交換することで効果が表れやすい。こちらはそれほど剛性は関係ないのと、ウエットカーボンでも純正の鉄製ボンネットに比べれば遥かに軽いので、ウエット製の安価な製品も多数リリースされている。

 鉄製ボンネットに比べるとウエットカーボンにしても、ドライカーボンにしても軽量化効果としては10kg以上あった。しかし、最新のアルミ製ボンネットが標準だと、もともと軽いのでその効果は数kgだ。

 バンパーやディフューザー、ウイングなどエアロパーツはドライカーボンで製作されることが多い。軽量で強いので大きなエアロ形状でも軽く仕上げやすい。また、その強さが大きなダウンフォースに負けずにボディを押さえつけてくれる。

ルーフやボンネット以外にもカーボン製が増えてきた

 ほかにもタワーバーの棒がカーボン製のこともある。鉄やアルミに比べれば同じ入力があったときの変位量が少ないので、より効果を出しやすいかもしれない。だが、逆に言えばボディのしなりのバランスとは、カーボン部分だけが硬すぎて、相反する可能性があるので注意が必要。

 バイクではメインフレームにドライカーボンが使われたり、ホイールに使われたりしている。いずれもしなりが少なくそれがソリッドなフィーリングであり、逆に言うと限界が見極めにくいと言われている。カーボンの軽さと強さは大きな魅力だが、どこにどういった用途で使うかが重要になる。

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