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パワーアップだけじゃ片肺飛行! クルマイジりは「冷却」を極めてこそ完成される

クーリング対策のイメージ

本来の性能を発揮させるなら温度管理は必須

 優れたエンジンも冷却系が貧弱なら宝の持ち腐れ。ノーマルで街乗りにしか使わないならともかく、パワーアップしたりサーキットを走るのであれば、水温や油温を下げる対策が必須といえるだろう。

 とはいえ冷却系を強化するパーツや方法は数多くあり、何から手を付けていいかわからない人も多いはず。そこで定番のメニューから小ワザまでを織り混ぜ、冷却系チューンをステップアップ的に紹介したい。

まずは現状をきちんと知るための温度計から

 まず最初にやるべきことは現状の把握、つまり水温計や油温計を装着することだ。不安だからといって大金を使って強化しまくったら、冷えすぎてノーマルに戻すハメになってしまった、なんてムダ遣いを避けるためにも必要なアイテム。特殊なクルマを除いて「純正で十分」なんてケースは考えにくく、とくに夏場は一般道を走ることすら不安になる数値の可能性もある。

 続いて最初にやるべき冷却系のチューニング、それはラジエーターのクーラント交換だ。純正クーラントは冷却する能力よりロングライフを重視しており、中古車ならそもそも劣化して冷えないことも十分に考えられるので、ハイパワーなエンジンやスポーツ走行用のクーラントを試してみよう。ただし、社外品のクーラントは優れた冷却性能とトレードオフに、寿命が短かったり冬場は使えないモノのあるので注意。

 続いてはラジエーターキャップだ。クーラントが沸騰しにくいようラジエーター内に圧力をかけるパーツで、純正の開弁圧が0.9~1.1kgf/cm2なのに対し、社外品は1.3kgf/cm2と高く、沸点が上がりオーバーヒートを防いでくれるうえ見た目もカッコいい。なお古いキャップはゴムパッキンが劣化し割れている場合があるので、中古車をベースにカスタムするなら純正品にしろ社外品にしろ要確認だ。

さらに水温を下げたいならサーモスタットやラジエーター交換を

 もう少し安全な領域まで下げたいなら、サーモスタットを交換してもいい。エンジンとラジエーターの間で『水門』のような役割を果たしており、水温が低いときは閉じてクーラントをエンジン内だけで循環し、水温が上がると開いてラジエーターも循環させ冷却する仕組み。当然ながら社外品は純正より弁の開く温度が低く設定されており、一般的に『ローテンプサーモスタット』などの商品名で呼ばれている。コレまた古いクルマは固着して開きにくいことがあるので、リフレッシュを兼ねて社外品を使ってみるのもアリだ。

 まだまだ温度が高いようなら大物、つまりラジエーター本体の容量アップ。循環の方式やコアの材質に厚さなどさまざまなタイプがあり、サーキットでは軽量なアルミの多層コアが人気だが、大きくなればなるほどクーラントを含めた重量が増えてしまうし、さらにはオーバークールは本末転倒なので慎重に選んでほしい。同時にラジエーターのホースもシリコン製などにすれば、耐久性の向上とドレスアップを両立できるので一石二鳥だ。

 エアロパーツによる冷却も無視できない。開口部の大きなフロントバンパーやエンジンルームの熱気を抜くダクトなど、場合によってはラジエーターより先にコチラを試してもいいほどだ。

 ココまでは水温に絞って解説してきたが、油温の対策を優先させるべき車種もある。水温に引っ張られて油温もある程度まで低くできるとはいえ、ハイパワーのターボ車ならオイルクーラーを装着したほうが安心。いずれにせよ愛車のエンジンやチューニングの度合い、走るステージなどによってどこまでの強化が必要かは異なる。ココで取り上げた冷却系のアイテムを無闇に装着していくのではなく、ノウハウのあるプロショップに相談しつつ『適温』を目指そう。

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