小気味よく走れるスポーツカーだった
当時の記憶と記録を辿ると、1986年に筆者はとある雑誌の燃費企画で、1.6Lモデルをおよそ1200km走らせたことがあった。企画に則してエコランを心がけた結果の燃費は満タン法で16.11km/L(カタログの10モードは12.8km/L)と良好だったこと、高速直進安定性はまったく問題なしだったこと、それからミッドシップらしいワインディング路での回頭性のよさなどの記録を残している。
またドライビングポジションは誰にでも馴染めるもので、高さのあるのセンターコンソール(41Lのガソリンタンクはその下にあった)から生えたシフトレバーが、小気味よいスポーツカーの味わいを楽しませてくれること、それに比してクラッチは踏力も軽く扱いやすいことなども記している。
昼夜を問わないロングドライブだったから、途中、高速道路のサービスエリアで仮眠をとろうとしたのだが、限られたキャビンスペースのためシートを存分にリクライニングさせられずそれには困ったこと……は、記事にはしなかった。だが、それは今でもハッキリと覚えている、国産ミッドシップカー初体験の一番の思い出だったかもしれない。
2代目はパワフルになったぶん車重もアップ
MR2はその後1989年に2代目にフルモデルチェンジ。この2代目ではエンジン排気量が2Lに拡大し、上級モデルのGTに搭載した「3S-GTE型」はネット値225ps/31.0kg・mと動力性能を一段と高めた。だが、カタログの諸元表でも明らかだったが、車両重量は1160~1240kgに増えた。
その後継車として1999年に登場した「MR-S」では、2代目MR2から一転、ミッドシップは踏襲しつつもライトウェイトオープンとなり、車両重量も1070~1080kgへとシェイプアップされ、ロングホイールベース化で旋回性能を高める考え方が取り入れられた。
時代が変わり、パワートレーンが変わっても、たとえシートのリクライニングが十分に効かなくとも(!)、ファン・トゥ・ドライブな国産ミッドシップスポーツカーにまた乗ってみたいものだ。