悪路向けの本格SUV全般が世界的に品薄となっている
最近はSUVの人気が高いが、その多くは乗用車のプラットフォームを使ったシティ派だ。日本車なら「ハリアー」や「ヴェゼル」が該当する。
これらのシティ派SUVが増えすぎた反動もあり、最近はSUVに原点回帰の傾向も見られるようになった。シティ派ではなく、悪路向けのSUVが人気を高めている。その典型が「ジムニー」だ。2018年の登場以来、高い人気を保ち、納期が一貫して1年以上となる。
これを受けてスズキでは、日本仕様を増産した。2018年の発売直後は、ジムニーの届け出台数は1カ月に1800~2000台だったが、2021年は3285台に達する。生産規模を1.6倍に増やしたが、納期は縮まらない。需要がさらに増えているからだ。
新車は販社からメーカーへの発注停止中
このほか日本車では「ランドクルーザー」、輸入車では「メルセデス・ベンツGクラス」、「ジープ・ラングラー」などの売れ行きも好調だ。人気が高まるのは良いことだが、納期が伸びるのは困る。
とくにメルセデス・ベンツGクラスは、海外を含めて売れ行きが好調で、納期も大幅に伸びている。販売店では以下のように説明する。「Gクラスの納期は3~4年とされる。メーカーの生産が追いつかず、いまは販売会社からメーカーへの発注を停止している。しかしお客さまからの注文は受け付けている。このときには予約金をいただくが(金額は販売会社によって異なり100~150万円が多い)、海外勤務などのやむを得ない理由で購入が不可能になったときは返金する」
5年落ちGクラスでも新車と同等のプライス
そこでGクラスの新車が購入しにくいのなら、中古車を考えてみたいが、先代Gクラスの中古車価格もきわめて高い。V型6気筒3Lクリーンディーゼルターボを搭載する「G 350d」でも、5年落ちの中古車価格が1000万円を超える。
この金額は、新車時と同程度だ。現行型の新車が手に入りにくいことから、中古車価格も吊り上がり、この影響が先代型まで波及している。
ランドクルーザーも同様だ。新車の納期が4年以上に遅延しており、現行型に連動して先代型の中古車価格まで高まった。先代型の中古車には、価格が新車時を上まわる車両も見られる。