フルモデルチェンジしたばかりのノア&ヴォクシー
2022年1月13日に、トヨタの「ノア」&「ヴォクシー」がフルモデルチェンジを実施した(ただし姉妹車の「エスクァイア」は廃止)。そこで2014年に発売された先代ノア/ヴォクシー/エスクァイアの登録台数を振り返ると、2015年には3姉妹車の合計台数が1カ月平均で1万7000台を超えていた。2021年に国内販売の1位になった「ヤリス」+「ヤリスクロス」+「GRヤリス」の合計と同程度の売れ行きであった。そしてフルモデルチェンジが迫った2021年の時点でも、ノア系3姉妹車の1カ月平均登録台数は、1万台を上まわっていた。
既存ユーザーの乗り替えを促すトヨタの戦略
ここまで好調に売れると、先代型の保有台数は膨大だ。しかも新型ノア&ヴォクシーは、エンジン、ハイブリッドシステム、プラットフォーム、安全装備、運転支援など、すべての機能を刷新して大幅に進化させた。そのために膨大な開発費用も使っており、失敗は許されない。
そこで新型は、とくに安全装備と運転支援に関して新機能を多く採用することで、従来型のユーザーが「ここまで進化したなら新型に乗り替えたい」と思わせるクルマに仕上げている。
このトヨタの狙いは、おそらく的中するだろう。今は新型コロナウイルスの影響もあり、納期が遅れて登録台数も伸び悩んでいるが、各種パーツやユニットの供給が回復すれば売れ行きも急増する。
コロナの影響もあって乗り替えペースが遅延中
そうなると先代ノア/ヴォクシー/エスクァイアを下取りに出して、新型を買うユーザーも増えるから、先代型の中古車流通台数も多くなる。中古車を買うときには豊富な在庫から選ぶことが可能になり、中古車需要に対して供給台数が増えるため、中古車価格も下がり始める。
ただし今は前述の通り納期が遅延して、従来型のノア/ヴォクシー/エスクァイアから新型への乗り替えが進んでいない。むしろ新車の納期遅延により、中古車価格が全般的に高まった。たとえばオークション(中古車のセリ市)の平均成約金額が、前年の1.1〜1.2倍になったケースもある。