今当たり前の装備は意外と歴史の長いものが多い
日本は欧米と比べると自動車の歴史は浅いし、ノウハウだけでなく素材などの問題もあって、戦後しばらくしてから自動車生産が本格的になったと言っていい。それだけに、当初は開発するのがやっとで、昭和30年代、つまり1955年ごろからさまざまな装備が充実してきた。今では当たり前の装備について、初採用がどの車種かを見てみよう。
クーラー:初代トヨタ・クラウン(1957年)
エアコンが付いていないクルマは今ではないといっていいだろう。最初にクーラーを装着したのは1955年に登場した初代クラウンで、1957年に追加された。エアコンではなく、クーラーというのが注目で、冷たい風が出るだけで温風と混ぜての温度設定はできなかった。エアコンを初搭載したのは1965年の同じく2代目クラウン。さらにオートは意外に古くて1971年のセンチュリーが最初となる。
パワステ:初代日産プレジデント(1965年)
1965年に登場した日産のプレジデントが最初。もちろん当時は高級装備なので一部の車種やグレードだけではあったが、1970年代にはけっこうな車種に採用されていた。もちろん油圧で、現在主流の電動パワステは2000年代に入ってからと思いきや、1988年のスズキ・セルボが最初。軽自動車なので、エンジンのパワーを食ってしまうのを避けたかったようだ。しかも日本車初というだけでなく、世界でも初だった。ちなみにフィーリングは単純にクルクルと回るだけだった。
パワーウインドウ:日産グランドグロリア(1964年)
1962年、プリンス時代のグロリアで1964年に追加されたグランドグロリアが日本車では初。1970年代半ばになると豪華装備として普及しつつ、憧れの装備でもあったので後付けキットも流行ったほど。純正にしても、手回しタイプのレバーを取って上から付けたような仕組みが多かった。
リヤワイパー:初代ホンダ・シビック(1972年)
1972年に登場した初代シビックに、翌年追加されたGLというグレードに装備されたのが日本車初となる。形状は現在のものと変わらないが、ただアームやブレードはメッキだった。