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モータースポーツもデジタル化が加速! オリンピックでも使われる最新技術「4DReplay」がスゴイ

撮影風景のイメージ

運転技術向上などにも役立つ可能性大

 近年サーキット走行を楽しむユーザーの間で普及している動画撮影。スマホやアクションカムを使用して車載やタイヤの動きを撮影し、SNSなどで共有しているユーザーが増えてきています。そんなサーキット撮影の新技術として注目なのが4DReplayです。今回は富士スピードウェイのマルチパーパスコースでKDDIが主催した、4DReplayの実証実験走行会に参加してきました。

そもそも4DReplayとはどんな技術?

「そもそも4DReplayって何?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。4DReplayでは180°や360°といったアングルを回転しながら映し出す映像で見ることができます。すでに野球やゴルフなどのスポーツでは活用されており、最近では北京オリンピックでもスキージャンプやフィギュアスケートなどでも採用されていたので、記憶に新しい人もいるのではないでしょうか。

4DReplay提供 ※再生すると音声が流れます

 あらゆる角度から映像を見るとこができるだけでなくリアルタイムで映像を配信したり、視聴者がスマホなどで任意にアングルの変更や拡大したりすることも、システム上はできるそうです。今回は約180°のアングルに60台のカメラを使用。ひとつのコーナーをあらゆる角度から撮影して頂きました。

走行シーンをさまざまな角度で確認可能

 実際に撮影された映像を見ると、クリッピングポイントに差し掛かったところで180°回転された映像になっています。映像が回転する直前に、わずかながらリヤタイヤがスライドし始めているのがわかります。そして回転して前方の画になると、わずかながらカウンターステアを当てています。今まではリヤタイヤとフロントタイヤの動きを同時に見ることはできませんでしたが、4DReplayならば同時にチェックすることができます。

 また、コーナリング中の姿勢変化もわかり、どのように荷重が移り変わっていくのかも理解しやすいです。4DReplayで撮影された映像を見返すと、今までにできなかった走りの発見をすることができるでしょう。

KDDI提供 ※再生すると音声が流れます

ドリフトでは迫力ある映像を楽しめること間違いなし

 自動車関連へのサービス展開に関して、具体的にはまだ模索中とのことですが、今回の走行会で4DReplayの可能性がいくつか見えてきました。

 例えば近年流行りつつあるドライビングレッスンです。ブレーキキングポイントや攻略が難しいコーナーなどにカメラを設置し、ブレーキタイミングやステアタイミングをチェックするのに利用するという例。今まで映像ではチェックが難しかった、ペダル操作とステア操作の連携をチェックすることができそうです。

 導入コストはまだ具体的になっていませんが、千葉に開設されたポルシェエクスペリエンスセンターや、コーンズが建設中の会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」などのような、ハイブランドが所有するコースにレッスン用に常設するというのは具体性があって面白いかもしれません。

 また、ワンコーナーを中心に魅せる走りをするドリフトユーザーにとっては、SNS発信にも向いているでしょう。KDDIの担当者も「この撮影方法は若い世代の方にはTikTok向きと言われます」と言っていたので、4DReplay映像を使ったSNS発信で、新たなクルマ遊びのバズり方をすることが期待できそうです。

KDDI提供 ※再生すると音声が流れます

 競技の場面でも活躍のシーンが期待できます。接触の判定ではこれまで固定カメラで撮影された映像を中心に判定していましたが、4DReplayならば早いタイミングで正確な接触判定をすることができるはずです。コース全域というのは難しいとは思いますが、オーバーテイクの多いコーナーに設置するといいかもしれません。

 これから自動車分野でも普及を目指していくという4DReplay。メジャーなモータースポーツシーンではもちろん、われわれ一般スポーツ走行ユーザーの間でも活躍の場はありそうです。この新しい映像で、今までに無かったクルマのカッコよさが引き出される可能性も感じました。

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