キュートなデザインとは裏腹にホットなチューニングが施されていた
トミーカイラといえば、日産車やスバル車などをベースにしたコンプリートチューニングカーをリリースしたほか、完全オリジナルの自社開発スポーツカーである「トミーカイラZZ」をリリースしたことでも知られるブランド。
そんなトミーカイラが手掛けたコンプリートチューニングカーの中に「トミーカイラ m08チューンドマティス」という耳馴染みのないモデルが存在していたことを覚えているだろうか?
このマティスとは、韓国の自動車メーカーである大宇(デーウ・現在は韓国GM)が1998年にリリースしたコンパクトカーであり、欧州では140万台という大ヒットを記録したモデル。日本では1999年から正規輸入がスタートしており、あのジウジアーロ率いるイタルデザインが手掛けたキュートなデザインは好意的に受け入れられていた。
そんなマティスをベースにチューニングを施したモデルこそが「トミーカイラ m08チューンドマティス」なのである。
吸排気系の見直しファインチューンが施されている
m08という数字が意味するように、わずか800ccの3気筒NAエンジンを搭載していたマティス。トミーカイラによってシリンダーヘッドの面研、ポート研磨、タペットクリアランス調整、ガスケット一式、吸排気系の見直しなどを実施し、52ps/7.3kg・mから70ps/9.5kg・mへとファインチューニングがなされている。
それに合わせて足まわりもスプリング、ショックアブソーバーともにあらためられ、タイヤも当時のスポーティタイヤであったポテンザGIIIに変更。室内には追加されたタコメーターとレカロ社製のセミバケットが2脚用意される(オプション設定)など、かなりホットなモデルへと変貌を遂げていたのだった。
またエクステリアも、当時のトミーカイラのコンプリートチューニングカーに共通するセンターストライプやサイドディフューザーが備わり、遠目から見ても普通のマティスとは違うというオーラを醸し出していた。
ここまで手を加えられているコンプリートチューニングカーでありながら、155万4000円からという低価格も魅力のひとつだった。K12型マーチをベースとしたコンプリートチューニングカーモデルの「m13」をも下まわる、トミーカイラのエントリーモデルともなっていた。
ただ、このm08は2004年の春に満を持して登場したのだが、翌2005年夏ごろにはマティスが2代目へとフルモデルチェンジを実施するために輸入がストップ。それに伴ってm08も販売終了となり、2代目マティスにトミーカイラモデルが設定されることがなかったのは残念であった。