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軽くて強いけど高額な「チタン」! クルマ好きを魅了する高級素材のメリット・デメリット

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TEXT: 加茂 新(KAMO Arata)  PHOTO: 加茂 新/写真AC/本田技研工業

  • 同程度のマフラーでステンレス製より約半分の重量に抑えられる
  • ホイールナットでもチタンの硬さが人気
  • 1997年登場のEK型シビックタイプRのチタン製シフトノブ
  • 兵庫県の鹿嶋神社にはチタン製の大鳥居が建立されている

クルマの高性能素材といえばカーボンとチタン

 高性能な金属と言えば「チタン」である。元素記号は「Ti」。なんといっても、軽くて強くて鈍く光ってカッコいい(笑)。そんなチタンだが実際のところ、何が良くて、クルマのどんなところに使われているのだろうか。

チタンの最大の特徴はズバリ「強度」

 レースカーやチューニングカーで高性能な素材と言えば、チタンとカーボンである。今回フォーカスするのはチタン。

 軽くて強くて高くて、価格以外は理想的なのがチタン。壊れにくさを示す強度は鉄の約2倍、アルミの約3倍もあり、強いのが特徴だ。同じ大きさだとじつはアルミの方が軽く、アルミの約1.7倍の重さになる。しかし強度が圧倒的に高いので、同じ強度を持たせるようとした場合、はるかに肉厚を薄くできるため圧倒的に軽くなるのだ。

 その特性を利用して、チタン製の中華鍋は女性でも軽々と扱えると人気があったり、ゴルフクラブでもチタンは定番の素材なのである。世の中にはチタン製の大鳥居を建てた神社もあったりする。

兵庫県の鹿嶋神社にはチタン製の大鳥居が建立されている

「剛性」は低く、最も活躍するのはマフラー

 しかし、壊れにくさを示す強度は高いが、じつは剛性は低い。剛性とは、力が掛かったときにどれくらい歪んだり、変形するかのこと。つまり壊れにくいが、力が掛かると変形はしやすい。なので、サスペンションアームやサブフレームなど、大きな力が掛かる箇所には採用されない。しかし、同程度の強度を持たせるとスチール製やアルミ製よりも、はるかに薄い厚みで作れるので結果として軽くなる。

 そして、なんと言ってもチタンの恩恵が大きいのはマフラーだ。排気パイプはそれほど力は掛からないので、パイプ厚を極力薄くできる。それでいてチタンは腐食に強いので錆の心配がなく、降雪地域でも塩化カルシウムによる腐食も起きにくい。

 たとえばHKS製「スーパーターボマフラー」でWRX STI(VAB)用の場合、ステンレス製は26.1kg、チタン製は13.4kgと約半分の重量に抑えることができる。だからこそ、いつの時代もチタンマフラーは羨望の的なのだ。

同程度のマフラーでステンレス製より約半分の重量に抑えられる

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