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日本車じゃありえないトラブルも多発! 元中古輸入車情報誌の編集長が後悔した「失敗」輸入車5選

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TEXT: 並木政孝(NAMIKI Masataka)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

  • ランチア・プリズマ2.0ie

  • 2代目ジープ・チェロキー
  • ケータハム・スーパーセブンの走り
  • 964型ポルシェ911の走り
  • ゴルフ2のフロントスタイル
  • ランチア・プリズマ2.0ie
  • ランチア・プリズマ2.0ie

今だから笑って話せるバブル絶頂期のヤバい輸入車とそのエピソード

 オートメッセウェブ編集部から「編集長時代に失敗したクルマについて書いて下さい」との相談があり、今回は当時を思い出しながら、これまでに所有した愛車たちを振り返ってみようと思う。ボクの経歴は外車情報誌から始まり、中古輸入車雑誌、アメ車専門誌、女性ブランド雑誌、眼鏡専門誌、時計専門誌などの編集長を経て、現在はフリーライターとして気ままな生活を送っている。そのなかでも自動車雑誌に関わっていた時代が一番長く、身銭を切って30台を越えるクルマを乗り継いできた。その結果、現在の貯金額はゼロという自堕落な人生を余儀なくされている。「後悔先に立たず」がボクの座右の銘でもある。

ほかのFF車を褒めることが苦痛になった「VWゴルフⅡ」の完成度とヤナセの功績

 まず、最初に買って失敗したな……と思ったクルマが「ドイツが誇る最強の大衆車」として知られるVWゴルフ。VWゴルフⅠを2台、VWゴルフⅡを5台(CI、GTI、GTI-16V、CI、シンクロ)を乗り継いだボクが「失敗」というのは、良い意味での失敗でもある。

 このクルマは現在のFF2ボックスモデルの礎となったクルマであり、RRレイアウトのVWタイプⅠ(ビートル)から脱却するためにVWが世に放ったエポックメイキングなモデルだ。とくに1984年から販売が開始されたVWゴルフⅡと呼ばれるモデルは傑作中の傑作であり、このクルマに乗ったがために、自分のなかでの価値観が上がってしまったことでほかのFF2ボックスに乗れなくなってしまったのである。

 当時のライバルであったフィアット、ルノー、国産FFモデルと比較しても完成度は高く、輸入車雑誌の編集長としては記事のなかで完成度の低いほかのクルマを褒めることが嫌で仕方なかったのも、今だからいえる当時の記憶だ。ゴルフ2のフロントスタイル

 1980年代の中頃から1990年代の初頭にかけて勢力を誇ったVWゴルフⅡだが、当時は「質実剛健」や「ドイツの自動車哲学の具現化」などと比喩され安全で壊れないクルマとして人気を博した。しかし、その伝説はVWゴルフ自体の性能だけでなく正規輸入元である『ヤナセ』の力が大きい。事実、VWゴルフⅡはゴム類が弱く、ドライブシャフトのブーツやマフラーハンガーが切れてしまうトラブルを筆頭に、エンジンマウントやウインドウゴムの劣化が激しいクルマであった。だが、迅速かつ丁寧に修理を行ってくれるヤナセの仕事振りがあってこその、「VWは壊れない」という都市伝説が作り上げられたといっても過言ではない。

絶好調な瞬間を一度も見せてくれなかった「ランチア・プリズマ1.6ie」

 なぜ、このクルマを選んだのかと自分でも不思議になってしまうのがランチア・プリズマ1.6ieだ。ランチアの血統を受け継ぐFFレイアウトの3ボックスモデルは、名車ランチア・デルタの兄弟車として生まれたモデルだが、このクルマだけは良い思い出がひとつもない。新車で納車された翌日からウォーニングランプが点灯し始め、何度も修理に出しても改善されることはなかった。さらに、東京から宮城県スポーツランドSUGOへと取材に向かう道すがら、東北自動車道で恐怖の体験を強いられたのも悪しき思い出。ランチア・プリズマ2.0ie

 雨が降り始めた東北自動車道を走っていると、友人が横に並んでサービスエリアに入れと指示を送ってきた。何事かと思いサービスエリアへとクルマを入れると「お前のクルマの後ろを走ると油膜がすごいんだけど」との大クレーム。とりあえず給油をしていると、下まわりからジャブジャブとガソリンが流れ出していたのである。これが後続車の油膜の原因であり、何とか取材を終えて修理に出して原因を訪ねると「新車を製造するときにドリルの歯がガソリンタンクに穴が開けちゃったみたいですね~」と、担当ディーラーマンが笑顔で回答。その答えを聞いたボクはすぐにランチア・プリズマを手放した。

肌に合わない!?? 時代錯誤の「ポルシェ911カレラ4(964型)」

 バブルの全盛期、ポルシェ944 S2を手放して憧れの911カレラ4(964型)へと乗り替えた。FRレイアウトの944は最高に楽しく素晴らしいクルマだったこともあり、911への期待が高まったのはいうまでもない。

 納車されたダークブルーの911カレラ4はカッコ良く、ボクは最高の気分を味わった。しかし、取材で乗る数時間、長くて数日の印象とは異なり、日常的に乗ることで見えてくるものがある。それはタイヤが切れないこと……。操角の小さい911は狭い駐車場では切り返しが必要になるほど小回りが効かず、実用にはほど遠いものであった。また、雨の日にワイパーの速度が遅く、激しい雨にはまったくというほど対応することができないのだ。ワイパーゴムが拭き取る面積も狭く、ポルシェあるあるの「雨の日は乗らない」のではなく「雨の日は乗れない」ことに驚愕した。964型ポルシェ911の走り

 もちろん、3.6Lの水平対向6気筒エンジンはパワフルで申し分ないのだが、通勤の足として使っていたボクは渋滞の国道で力を持て余す911カレラ4にストレスを感じ始め、遂には手放してしまうことに。当時のレベルとしては「古臭い」というのが正直な印象で、それまで乗っていた944 S2と比べても旧態依然としたクルマだったことに愕然としたのは懐かしい思い出だ。

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