市販車ベースのレーシングカーは参考にできるポイント多数
戦闘力に差がないからこそ難しくも楽しいワンメイクレース。日本ではコンパクトカーのヤリスに加えて今年からGR86/BRZがスタート、またヨーロッパを中心とした海外にも数多くのカテゴリーが存在している。
レーシングカーと聞くと「自分には縁がない」と感じるかもしれないが、市販車をベースにカスタムしているからには参考になる部分が必ずあるはず。とくにBMWやポルシェといった海外のワンメイクレースは、コストを抑えるため改造範囲を狭めた国内の車両に比べ、いい意味で過激かつ面白いスペックであるケースが多い。
装着パーツのチョイスを真似してみるのは大いにアリ
なかでもチューニングカーにとって教科書といえるのは、BMWが送り出した『M2 CSレーシング』だろう。昨シーズンからDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)のサポートレースが始まり、2022年は日本でもBNWで唯一のオフィシャルレースとして、年間10戦の開催がアナウンスされ大きな話題となった。
ブレーキは日本のチューニングカーでも馴染みが深い、アルコン製のフロント6&リヤ4ポットのキャリパーを装備。シャシーでは角度を調整できるウイングにフロントのスプリッター、エアロキャッチを備えたボンネットやトランクも定番中の定番だ。
超軽量なカーボン製のルーフや溶接式のロールケージは一般的といえないかもしれないが、プロショップのデモカーやタイムアタックに特化したチューニングカーでは割と見かける。コクピットのフルバケットシートと6点式シートベルト、専用チューニングが施されたDCTや機械式LSDも同様だ。
車両は1499~1799万円と気軽に手を出せる価格ではないが、速さに加えて安全性や耐久性もお墨付きのスペックと考えれば、国産車のチューニングカーでも見習うべき点は多いと思われる。
人気の国産ワンメイクレースカーにも注目
ちなみに冒頭で「改造範囲が狭い」と書いた国産のワンメイクレース車両にしても、当然ながらサスペンションや安全装備には手が入っているし、ナンバー付きが前提だけに乗り心地やタウンユースの使い勝手も上々だ。
ヤリスを例にすると乗車定員が変わらない6点式ロールケージ、ノーマル形状ながら全14段で減衰力の調整が可能なダンパー、カット済みでロールケージと干渉しないフロアマットなどが標準装備。大半のユーザーがサーキットと街乗りを兼用していると考えれば、改造範囲が狭いからこそ見習うべきカスタムやパーツは多いともいえる。これから本格的にサーキットを走る人やタイムが伸び悩んでいる人は、ワンメイクレース車両の仕様をマネしてみるのもひとつの手だろう。