STIの魂であるWRXにも電動化シフトには抗えず
スバリストのみならず、多くのクルマ好きにとって『あっと驚くニュース』がアメリカから飛び込んできた。スバルの北米法人である、スバル・オブ・アメリカ(SOA)は2022年3月11日、『ステートメント・オン・スバルSTI』を発表。そのなかで、自動車産業界の電動化が進行している現状を踏まえて、スバルは将来のスポーツカーやパフォーマンスカーを、市場変化や各種の規制にどのように対応するべきか、検討していることを明かした。
ここでいう規制とはおもに、CO2などのグリーハウスガス(温室効果ガス)、ゼロエミッションビークル(ZEV)、そして企業別平均燃費(CAFE)を指す。その上で、次世代WRXについても電動化を視野に入れるという。さらには、現行のWRXプラットフォームをベースとしたWRX STIを生産しないことに言及したのだ。
WRX S4の試乗でSTI登場に向けた伸び代は十分と感じたのだが……
日本国内では、現行WRXとしてS4が2021年に登場。GT-H EXとSTI Sport R EXを袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗した際、「さらにこの先、WRX STIに向けた”伸びしろ”を十分に残しているはず」と感じたのだったが……。現行型インプレッサから始まった、スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)の採用モデルのトリを取るかたちで、WRX S4の走りの出来栄えが極めてレベルが高いはずだ、とも思った。だからこそ、来たるWRX STIに対する期待が、スバリストの間で高まっていったのだと思う。
ところが、ここへきてのSOAの発表である。これは事実上、スバルが長年に渡り続けてきたWRX STIという商品の大きな流れの終焉を意味すると言っても過言ではないのではないか。それほどまでにスバルにとって、今は大きな時代変化の時期なのだ。