理想は2列目ベンチシートだがセミベンチ化できるキャプテンシート仕様もある
ただし、2列目席のキャプテンシートは不向きだ。できれば多頭、大型犬でも寛げるベンチシートをオススメしたいところだが、ミニバンのキャプテンシートの豪華さや快適感は捨てがたい。ならば、Mクラスボックス型ミニバンの新型ノア&ヴォクシーのHV、セレナe-POWER、そして今春発売予定の、ついに2列目席が左右スライドし、キャプテンシートでもセミベンチシート化できるようになった新型ステップワゴンe:HEVモデルあたりが、ドッグフレンドリーカーとして最高ではないか。
2列目席ロールサンシェードはもちろん、グレードによってリヤ独立エアコンも備えているから、車内空調的にもドッグフレンドリーということになる。とくにホンダ車は、純正ドッグアクセサリー=「ホンダドッグシリーズ」が充実しているから、さらにドッグフレンドリー度は高まる。
走行安定性の高い乗り心地が優秀なミニバンならストレス軽減できる
走行性能についてもポイントがある。それは、車内が静かで、前後左右の姿勢変化が少ない乗り心地のいいクルマであってほしいということ。犬は聴覚に優れるとともに、車内でどこかにつかまることができず、カーブなどでの姿勢変化が大きいと爪を出して踏ん張り続け、それがストレスになりクルマ酔いの原因にもなるわけだ。
もっとも、最新のボックス型ミニバンはその点でも、しっかりとした乗り心地を示してくれるから、あとは優しくスムースな運転を心がけることで解決するはず。妊婦さん、病人が乗っていると思って運転すればいい。車内の静かさという点では、上級車、電動車が候補に挙がるのはもちろんだ。
愛犬との時間を無駄にさせないためにも4WDモデルならなお良し!
そして、雪道や悪路に強い4WDも実はドッグフレンドリーカーとしての優位性を持つ。というのは、人間の6~7倍のスピードで歳を重ねる犬の寿命は10年から15年。12歳でも72歳(中小型犬)~84歳(大型犬)なのである。そんな短い犬生のなかで、1日中、家族と一緒にいられるドライブ旅行の楽しみを1回でも多く経験させてあげるのが、わが家では飼い主の使命だと思っている。
だが『冬だし、雪道で路面が悪いから……』といった理由で運転に自信がなく、せっかくのドライブ旅行の計画をいきなりキャンセルしたのでは、家族も愛犬もガッカリ。愛犬にとっては貴重な、せっかくの楽しみの機会が減ってしまう。あとで「もっといっぱいドライブに連れて行ってあげればよかった」と後悔するより、1年中、路面コンディションに関わらず、愛犬とともに安心・安全にドライブ旅行に繰り出せるクルマを選ぶということも、愛犬家として大切だと思っている。そもそも、多くの犬は雪が大好きだ!!
上記のミニバンの4WDモデルならその意味でベターだし、究極はミニバンの皮を被ったSUVと言えるデリカD:5なら、なお頼もしい。アウトランダーPHEVのようにAC100V/1500Wコンセントの用意はないものの、最低地上高に余裕があり、雪道、悪路に強い全天候型のオールロードミニバンとして、極めてドッグフレンドリーな1台とも言えるのだ。基本部分がアウトランダーだからフロア高は高いものの、空調、2/3列目席座面のフラット度も文句なしである。
無論、小型犬との生活なら、フリードやシエンタのようなコンパクトミニバンでもまったく不自由はない。愛犬専用席を3列目席にすれば、最大5名乗車も可能になる。そしてソリオのような後席が広く、ラゲッジスペースにも余裕があるプチバンでもOKだろう。いずれにしても、スライドドアであることが、愛犬の乗せやすさに大きく関わってくるということだ。