「新城ラリー2022」で全日本ラリー選手権に初参戦
全日本ラリーの2022年シーズン開幕戦となる「新城ラリー2022」は3月18日~20日に開催。「フライングフィン」の異名をとるフィンランド出身のヘイキ・コバライネン選手が、全ステージでベストタイムをマークして全日本ラリーJN1クラス初優勝を果たし、大いに盛り上がりをみせた。そんな新城ラリー2022において、全日本ラリー選手権への初参戦をした女性ドライバーがいる。それが平川真子選手だ。
サーキットでのレース経験を経てラリーに挑戦
平川真子選手は、2017年のSUPER GTでは最年少チャンピオン(ペアはニック・キャシディ選手)を獲得し、今季からWEC(世界耐久選手権)に挑戦している平川 亮選手の実妹である。レーシングカートからキャリアをスタートして、これまで「KYOJO CUP(競争女子選手権)」などを経験してきている。
「父親(JGTC/SUPER GTなどにも参戦してきた平川 晃選手)はサーキットで走っていて、その後ラリーの面白さに目覚めたみたいで、今回の新城ラリーにもAKIRAという名でJN2クラスに出場しているんです。そこから私も、サーキットと違う楽しさ、面白さがあるのかな? と思って、昨年夏にヌタハララリースクールの練習会に参加して今に至ってます。まだスクール生ということで、ラリー参戦は昨年2回、今年は1回(九州ラリー選手権の第一戦)出ていて、今回が4戦目になります」とコメントの通り、日本を代表するラリードライバーである奴田原文雄選手の主催するヌタハララリースクールのスクール生なのである。
奴田原選手が主宰する実戦向けラリースクール
ヌタハララリースクールは、2016年にスタートしたラリーの実戦向けのスクール。奴田原選手はこのヌタハララリースクールに続き、2018年からは若手育成プログラムとして「NUTAHARA RALLY SCHOOLジュニアチーム」という活動も展開。そのジュニアチーム一期生で昨年JN3クラスのタイトルを獲得したのが大竹直生選手である。2期生には小暮ひかる選手がおり、昨年ラリースクールのヤングエキスパートクラスを受講した山本雄紀選手と、この3名は現在、トヨタのWRCドライバー育成プログラム「TGR WRCチャレンジプログラム」に選出されている。つまり、この奴田原選手の若手育成のプログラムはしっかりと実績を上げてきている、といえる。
奴田原選手みずからも参戦する今季の全日本ラリー選手権だが、奴田原選手本人は「GRヤリス」で参戦し(コ・ドライバーには同じくジュニアチームの卒業生である東 駿吾選手を昨年から起用している)、さらに2台を加えた3台の大所帯で参戦する。
父のオサガリのトヨタ86でラリー修行
その一台が平川真子選手。参戦するのはJN3クラスで、使用するのは父親のオサガリというラリー仕様の「トヨタ86」。その車両名「RSS 86 withヌタハララリースクール」にもあるように、ヌタハララリースクールの講師でもある藤田めぐみ選手がコ・ドライバーを担当する。藤田選手は昨シーズンに大竹直生選手とペアを組み、大竹選手のクラス・チャンピオン獲得に貢献している。
藤田選手は平川選手について「経験が少ないので、まずは完走させて経験を積んでいきましょうって奴田原さんと話を進めています。彼女はすごく素直に話を聞いて、次のときにはそれを直していけるので、これからどんどんレベルアップしていくんだろうなって感じています。彼女とは今年の九州戦から組んでいますが、ひとつひとつノート作りを進化させていて、状況が変わっていっている感じですね。無謀な運転はしないんですが、彼女は走れる人なんで、走れるところ、危なくないところはどんどん走らせたいし、危ないところはしっかり抑える、でも抑え過ぎないようにという感じでナビゲーションしています」という。
女性同士のペアで楽しくレベルアップ中
「サーキットとラリーって、”見える相手との闘い”と”見えない相手との闘い”って、それぞれ違う楽しみがあります。ラリーでは信じられるノート(ペースノート)を作らないと速く走れないので、そういったところが今楽しいなと思っています。もちろんまだ勉強するところはたくさんあります。コ・ドライバーの藤田さんは経験が豊富なので、わからないところを教えてもらったり、もっと速く走るためのアドバイスをいただいて、女性同士ということで気持ちもわかってもらえて楽しくやらさせていただいてます。今回はノートづくりと完走が目標でした。これからも作ったノートをしっかり修正して煮詰めて、自分を信じて走りたい」とコメントしてくれた平川選手は、今回の「新城ラリー2022」を無事に完走した。今後の彼女の活躍に期待したい。