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最初は2速だった! いまやプロが操るMTより速く走れる「オートマ」の進化が止まらない

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 島崎七生人/本田技研工業/BMW AG/Auto Messe Web編集部

5代目セドリックが5速AT車を投入! バブル時代にAT車が主流になる

 1989年には日産が世界初の5速ATを搭載したセドリック&グロリアを発売。コンピュータ制御で運転者にストレスのないギヤを選ぶATとなっており、その後は電子機器の進化とともに各社がしのぎを削ることとなり、バブル期も重なって完全にATが主役の時代となる。7代目セドリック

 そんななか、現在、軽自動車やコンパクトカーを中心に主流になりつつあるCVTが1987年にスバル・ジャスティECVTの名で搭載されて世界初登場。現在のようにトルコンではなくて電子制御電磁クラッチを組み合わせたことで、スチールベルトプーリーを綿密に制御する無断変速という夢の技術を実用化した。ただATのようにトルコンがないことから、ATならではのクリープ現象がなく、機構を理解していないとうまく扱えないこともあり、現在はトルコンを持つCVTが主流となっている。

6代目シビックに搭載のCVTによって日本の2ペダル車人気が広がる

 2ペダル車の普及に拍車をかけたのは、1995年、6代目シビックにホンダマルチマチックCVTの登場がきっかけとなり、CVT採用車が増えていく。このCVTのメリットは、幅広い変速比が得られることから採用された燃費重視のモデルであり、無段階変速ゆえに変速ショックがないことと、レシオカバレッジ(ギヤ比の幅の様なもので、コンパクトカーでもトルコンATの5速のような幅広いギヤ比を実現できる)をコンパクトサイズな変速機で実現できることから、新時代ATの主流になると期待された。6代目シビックフェリオ

 当初は過去のATのようにトルコンではなく湿式多板クラッチなどを用いたことから、発進時のギクシャク感が出る場合や、クリープ現象がなかったため人気とはならず。トルコンがないことからスリップロスによる燃費向上を謳っていたが、走りもMTやトルコンATのようにエンジン回転数と速度がリニアに変化しないために「アクセルを踏んでエンジン回転数が上がらないのに加速する」とか、「エンジン回転数が上がっているのに加速しない」などの現象が出たことで、即座に普及しなかったものの、年々改良に改良が加えられ、現在ではコンパクトなクルマはトルコンCVTが主流となっている。

 そして現在のCVTは、副変速機付きでさらにレシオカバレッジを拡大した小型車向けや、トヨタの発進ギヤ付きのダイレクトCVTが出るまでに進化。ダイレクトCVTはレクサスUXから採用されたが、先に挙げたCVT特有のエンジン回転数と車速がリンクしない現象「ラバーバンドフィール」が弱いことから、新しいCVTとして期待されている。海外ではCVTは嫌われているが、今後は違った様相をみせるかもしれない。

BMWのSMGなど、クラッチペダルを持たないAMTも登場

 なお、トルコンATは大トルクが苦手だったわけだが、そこで一つの解決策となる技術が登場する。それがE36型BMW M3に搭載されたSMGで、これこそが本当の「ノンクラ」のトランスミッションといえる。実際にはクラッチこそあるがクラッチ操作を機械が担当するMT構造のトランスミッションで、変速操作はクルマが担当(※運転手が任意で操作することも可能)。つまりクラッチペダルのない2ペダルMTで、現在はAMT(自動MT)と呼ばれ、スズキ車や一部輸入車のコンパクトモデルには現在も採用されている。E36型BMW M3の走り

 これは通常のMTに自動クラッチがあり、機械が変速操作をしてくれるのでクラッチ操作の必要がなく、構造がシンプルであった。MTは昔の技術だと思われがちだが、余計な機構やトルコンがいらない、昔ながらの機構なので走行時のロスが少なくて効率が良い。MT自体が走行時のロスが少ないシステムなので、AMTも環境的にも優れているといえる。E36型BMW M3に搭載のSMG

 しかしトルコンATに慣れた方ではうまく運転できないことや、どうしても出てしまう変速ショックなど、万能とは言えないのかもしれない。日本ではAT限定免許で運転できるメリットもあるが、機構自体はMTなのでMT車の運転の経験がないと扱いにくく、やはりストップ&ゴーが多い日本ではATと比べると使いにくいと言わざるを得ない。

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