今さら聞けない? タイヤ交換のNG事例
この時期はスタッドレスタイヤから夏タイヤへのの履き替えなど、自身で履き替える方も多いだろう。だがじつは、タイヤ交換は危険がいっぱいの作業でもある。今さら聞けないタイヤ交換時の作業について、「こんな作業はしちゃダメ!」のNG事例を解説。安全なカーライフの参考にしていただきたい。
NG作業1:車載パンタジャッキでのジャッキアップ
タイヤを外すために付いている車載のパンタジャッキ。しかーし、これでタイヤ交換をしてはならない! でもタイヤ交換のために車載されている! という謎掛け状態。
車載のパンタジャッキはあくまでも「緊急時用」なのだ。力もいるし、なんといっても地面と接する面積が小さいので、なにかの拍子にクルマがわずかでも動けば、ジャッキが転んでクルマは落下してしまう。
山奥でパンクして、救援に誰も来てくれなくて、このままでは凍死してしまう! とか、どうしようもない状況では仕方なく使うが、毎年2回のスタッドレスの履き替えや、ローテーションで使用するにはリスクが高すぎる。
油圧式のフロアジャッキはホームセンターで3000円程度から売られている。力も要らずにクルマを持ち上げられるし、安全性も格段に高い。もしクルマが落下してしまうと挟まれて大怪我や死亡することも珍しくない。運良く人間は無事でも、クルマの足まわりに重大なダメージを負い、着地状態から復帰するのに救援を呼ぶ必要があったりもする。リスクを考えると3000円出しましょう!
それとジャッキはクルマを持ち上げるためのものなので、持ち上げたらすぐにリジッドラック(ウマ)をフロア下に入れること。ジャッキが落ちたときの保険として、すぐにリジッドラックを入れるのがオススメだ。
NG作業2:取り付けるタイヤのローテーションは要注意
前後のタイヤを入れ替えたりする「ローテーション」。どうせスタッドレスからノーマルタイヤに戻すのだったら、ローテーションしておこうとフロントに履いていたタイヤをリヤに。リヤに履いていたタイヤはフロントにすることもある。厳密にはNGではないが、減り具合を見てから判断したい。
なぜなら、タイヤは前後で減り方が異なるから。年に数回とか、1万km以下で頻繁にローテーションしているなら大丈夫だが、「お~フロントタイヤがツルツルだからリヤにまわそう」というのは危険。タイヤはフロントならその場所なりに斜めに減っており、リヤも同様。それをたくさん減るまで使ってから入れ替えると、路面への当たり方が変わり、接地面積が減ってしまう。フロントタイヤだけ異常に滑りやすい、というようなことが起きる。サーキットでは前後のタイヤを入れ替えたらいきなり大スピンしたというのはよくあることだ。もし、ローテーションして長くタイヤを使いたいなら頻繁に入れ替えて、減り方に偏りが出ないようにすること。
NG作業3:着地前に軽くナットを締めるとき緩すぎるのも危険
ホイールナットを締めるときは着地して、タイヤが回らないようにしてから行うのは正解。気をつけたいのは、ジャッキアップ中に軽く締めてから着地させるときで、このときに締め足りないと危険だ。空中でサイドブレーキの無い方のタイヤはクルクル回って締めにくいが、締め足りないとホイールがクルマに斜めに刺さったまま着地してしまう。そこから本締めすると締めても締めてもきちんと締まらない。しかも、ネジ山を傷める。きっちり締めたつもりでも斜めに取り付けられていたので、走り出してすぐに緩んでしまったということもある。
サイドブレーキが利いていない方のタイヤは空中でタイヤを抑えながら、十字レンチでしっかりと締めるか、ギヤを入れて締めるようにする。それから着地させて本締めするようにしたい。
NG作業4:本締めで力いっぱいグイグイ締める
ホイールナットは締める強さが決まっていて、普通車なら11~12kg・mくらいが多い。緩んではいけないと強く締めすぎると、意外と簡単にボルトが伸びて、折れてしまう。こうなると自身で直すのは無理だし、そもそも締めすぎてボルトにダメージを与えると、走行中に折れる危険がある。
締める強さをコントロールするために「トルクレンチ」という工具がある。これは設定した強さで締まるとカチカチと音が鳴り、手応えでもそれを感じられて締めすぎを防止できる。こちらもホームセンターで3000円ほど。プロショップで使う工具は3~5万円ほどしているが、とりあえずトラブルを防止する意味では3000円のトルクレンチでも問題ない。
ゆっくりと締めていって「カチン」となったら、それで十分に締められている。星型に順番で締めて、確認でももう1回星型に閉めれば完璧である。このトルクレンチ、内部のバネがその機能の秘密で、締め付けるトルク値に設定したままにしておくとバネが伸びてトルクが狂ってしまう。保管時は一番設定トルクの小さな値にして保管しておこう。