少人数乗車+愛犬連れであればSUVやステーションワゴンも最適
前回、愛犬とドライブするのに適したクルマとして、多人数家族向けにミニバンを推奨してきた(※詳しくは関連記事参照)。じつはわが家も以前は4人家族で、大型犬のラブラドールレトリーバーのマリア、キャバリアのくるみ、そして今も健在のジャックラッセルのララと暮らしていたころは、ミニバンを所有していた。
だが、今は夫婦2人とララ1頭の生活だ。それであれば、普段は無駄な空間を背後に背負うミニバンに、愛犬のためとは言え乗り続ける必要性はないと考え、コンパクトなステーションワゴンを愛車に選んでいる。もちろん、2名乗車であれば大型犬や3頭の犬を乗せることも可能である。
4:2:4分割の後席シートなら荷室にエアコンを送風できる
新年度を迎えて少しずつ暖かくなってきた今日この頃だが、気温の低い季節に愛犬をラゲッジルームにやむを得ず乗せる場合は、できれば4:2:4分割可倒式のリヤシート仕様がお薦めだ。この仕様であれば、4人乗車であっても中央の2分割部分をアームレストとして倒せば、ラゲッジルームと後席の間に空間ができ、エアコンの風が通りやすくなるとともに、愛犬と飼い主のアイコンタクトが容易で犬も飼い主も安心してドライブを楽しむことができるようになる。
しかし、どうしてもSUVで愛犬とともにアウトドアを楽しみたいし、気候の安定した季節限定で大型犬をラゲッジルームに乗せることもある……というなら、ラゲッジフロアがなるべく低いSUVを選ぶといいだろう。大型犬が自身で乗り降りするにしても、飼い主が乗り降りを手伝ってあげるにしても、あるいはケージを出し入れするにしても、そのほうが楽で安全だからだ。
SUVを選ぶのなら荷室フロア高が低いホンダCR-Vがお薦め
その点では、ミッドサイズSUVのラゲッジフロア地上高(開口部)の平均値は700~800mmの高さだが、ホンダCR-Vに限って665mmと、ワゴン並みの高さになるところに注目だ。ドッグフレンドリー装備的にはベストと言えないが、ラゲッジルームの犬の乗降性に限れば、悪くない。
ホンダ純正のドッグアクセサリー、「ホンダドッグシリーズ」の充実度も見逃せないポイントとなるだろう。逆に、ハリアーのラゲッジフロア地上高(開口部)800mmは高すぎる印象。これはわが家の自称自動車評論犬、ジャックラッセルのララの評価だ(自動車専門誌やウェブ媒体で年間数十台の最新モデルを試乗済)。
雪道も頼りになるAWDのレヴォーグやV60クロスカントリーも見逃せない
そこでラゲッジフロアが低く、しかしSUVに匹敵する悪路、雪道の走破性を持つステーションワゴンを提案したい。国産ステーションワゴンはほぼ絶滅状態にあるが、スバルのAWDを搭載した雪国でも大人気のレヴォーグがあるし(ラゲッジフロア地上高610mm)、もっと悪路に適したワゴンというなら、ボルボのV60クロスカントリーがある。
このモデルは、もちろん4WDで最低地上高210mmを確保した上で、ラゲッジフロア地上高は675mmと低く、後席に乗せるにしても座面の地上高は590mmと、これまた低い。リヤドアからの乗降にしても前足をかけるステップがあるなど、空調を含めて完璧と言っていい仕様となっている。
なお、ボルボ純正のドッグアクセサリーとして、筆者がデザイン・プロデュースした後席用の「ドッグベッド」のフルサイズ(大型犬、多頭用)、ハーフサイズ(中小型犬用)も用意されており、汎用性があるためボルボ以外の車種にも装着可能だ。
ドッグ用カーアクセサリーの活用で愛犬はさらに安全&快適!
また、フォルクスワーゲンにも純正ドッグアクセサリーとして「フラットベッド」があり、これもまた筆者がデザイン・プロデュースしたもの。ボルボ同様にバスタブ状のため車内の抜け毛、ヨダレ汚れは最小限。合成皮革製なので抜け毛のからみもなし。底にはウレタンパネルが敷き詰められてフラットになり、犬も安心・快適に乗っていられる。
しかも後席のエアコン吹き出し口に対応。降車時にはサイド部分を外側に垂らすことができ、サイドシルやシートサイドの汚れ、キズを防いでくれる最高峰の実用性を備えている(ボルボはシートベルト対応)。ボルボ&フォルクスワーゲンユーザーの愛犬家ならずとも、ぜひ愛犬のために装備してほしい。
最後にひと言。中小型犬の飼い主で、ドッグカートをドライブ先でも常用しているのであれば、ラゲッジルームの横幅に注目してほしい。畳んだドッグカートの全長は約1m程度のものが多いのだが、それを真横に積み込めることが求められる。もし斜めにしか積めないようだと、ドッグカートの上に重い荷物を乗せるわけにはいかないから、荷物の積載効率が極端に悪くなってしまうのである。ドッグカートを購入するときは、愛車のラゲッジルームの横幅(もっとも狭い部分)との適合性をチェックしていただきたい。