ホンダアクセス初となるドリルドタイプのローターを用意
走りのアイテムとしては、ほかにブレーキパッドとローターが設定されているが、パッドは耐フェード性を高めつつ、ペダルを踏んだ瞬間に強く制動Gが出過ぎないよう、コントロール性にも配慮して緻密に摩材を配合したとのこと。
ローターは、表面に付着したダストをクリーニングする効果を持たせて制動力を安定させるため、ホンダアクセスとしては初めてドリルドタイプが採用されている。ヒートクラックが入りやすいため従来はホンダ基準の耐久テストがクリアできず、スリット式を採用してきたが、S660は新車装着のローターが前後ともソリッドタイプだったので、ドリルドにしても耐久テストをクリアできたのだという。
かゆいところに手が届くようなアイテムも続々設定した
こうした走りのチューニングパーツ以外にも、S660には数多くのユーティリティアイテムが設定された。デビュー後にも新規アイテムが随時追加されているが、肘や膝が当たりやすい場所にクッションを配置して痛さを和らげる「ドライビングパッド」もそのひとつ。
土屋さんが発売前にベース車を試乗した際、Tシャツにジーパンで試乗したら肘がプラスチックのパネルに直接当たる。短パンだと膝も当たって痛いと気付いたのが、開発のきっかけになったという。
「それを本田技術研究所のスタッフに伝えても『そうですか』で終わってしまったから、『ラッキー、じゃあモデューロでやろう』とホンダアクセスに報告したのです。これは女の子が嫌がるよ、当たった所が赤くなる、と」
松岡LPLはさらに続ける。「S660はユーザーが長年乗り続けるクルマなので、マイナーチェンジのタイミングを待たずに開発が終わったものから随時アイテムを追加していくことを、当初から経営陣にも宣言していました。ホンダアクセスはホンダ本体よりも小まわりが利くので、こうした困りごとに対処するアイテムを素早く発売しやすいですね」と付け加えている。
だが、これらのS660用純正アクセサリーは、車両本体と同じく2022年3月に生産・販売が終了となってしまった。ホンダアクセスにはかつて、NSXやビート、S2000のデビュー20周年のタイミングで、一部アイテムを復刻しつつ、新たな純正アクセサリーを開発・販売した実績がある。S660に関しては、デビュー20周年と言わず10周年の時点でも、純正アクセサリーが復刻・新規開発されることを、心から期待したい。