市販のリプロパーツは中国で生産され独自基準なので開発速度は速い
一方、市販のリプロパーツは多くが中国の工場で生産。所有する純正部品を持ち込み、試作品を製作する。それを日本で品質管理して問題がなければ製造する流れだ。自動車メーカーほど厳格な精査はしていないため、設計から製造までのサイクルは早く、価格も抑えられるというわけだ。すでに15年以上の歴史を持ち、商品に問題があるという話を聞くことは今ではほとんどない。
また、純正部品を当時のまま復刻させるメーカーのヘリテージパーツに対して、最新の素材や材料を使用し、よりクオリティの高い商品を提供することにも余念がない。見た目は純正に酷似しているがアップデートしている部品も登場し、カスタマイズパーツとしての役割を果たしている。制約がない分、自由度も高いのが魅力だ。
今後はヤングタイマー世代にも広がりを見せるかが気になるところだが、それは自動車メーカーがどこまでヘリテージパーツを製造するかによるという。正統派にとっては価格よりも純正パーツという部分に価値を見出している人も多く、社外品として同じリプロパーツを製造しても売れない可能性が高く、検討しているが様子見とのこと。昔からのリプロパーツメーカーだけでなく、新興メーカー/純正部品を手掛けている部品メーカーなどの参入もあり、徐々にだが広がりを見せている。
復刻パーツは旧車の人気を保ちオーナーに安心という価値を届ける
ただ、残念ながらいずれも人気車種が中心で、不人気車種、レア車はクルマに精通する主治医を探し、ドナーを用意したり、ネットで部品を探したり、オーナーズクラブに参加してさまざまな情報を得るなど愛車が機能停止に陥らないよう努力する必要があるのは変わらない。
それでもリバースエンジニアリング技術、まだ量産化には至っていないが金型を必要としない日産の対向式ダイレス技術など、さまざまな新しい手法の確立で「無いものを作る」ことは少しずつ可能になりつつある。旧車のリプロパーツは愛車に長く乗り続けるためだけでなく、旧車人気を保ち、オーナーに安心という価値を届けているのだ。