このままでは新車が作れなくなる騒音規制の厳しい現実
排出ガスによる環境対応だけでなく、クルマが発する騒音も環境問題のひとつであり、これによってエンジン車の存続が難しくなる可能性が出ている。この騒音規制はすでに実施されており、現在はフェーズ2の段階にある。それでも、すべての新車がこれを満たせているわけではないという実態があるが、許容範囲にとどまっているのが現実のようだ。しかしこれがフェーズ3になると、少なくともエンジン車が適応するのは難しくなりそうだという。
クルマの騒音は意外にもタイヤの走行騒音が主たる原因
クルマの騒音はエンジンによる排気音だけでなく、タイヤ騒音も関係している。タイヤも通過騒音という測定で規制対象となってきたが、それがフェーズ3ではタイヤも課題を抱えることになりそうだとのことである。実際、幹線道路などでの騒音の多くは、タイヤ騒音だ。
エンジンが、“ブルンブルン”などという排気音を轟かせていると思うのは、人々の印象でしかなく、交差点などでの発進の際に排気音は耳に届くが、幹線道路などを一定速度で走っているクルマから排気音はほとんど意識させない水準だ。ことに乗用車は静かに走っている。
EVやPHEVでは排気音を擬似的に聞かせる音のチューニングが主流に
一方、“ゴーッ”というタイヤ騒音は、速度が上がるほど耳に届き、それがクルマの騒音の多くを占めている。先にも述べたように騒音規制は何らかの形で世界的に実施されている。たとえばゼネラルモーターズ(GM)のコルベットは、以前から外で聞こえる排気音とは別に、アクセルを深く踏み込んだ際の勇猛な排気音は作られた音色を車内の運転者に聞かせてきた。
BMWのプラグインハイブリッド車(PHEV)のスポーツカーであるi8は、ミニと同じ直列3気筒エンジンとモーターの組み合わせで、外にいれば静かに走るが車内ではフルスロットルでV型8気筒エンジンのような迫力ある音を聞かせる。さらにBMWの最新のEVであるiXは、走行モードに応じた擬音を車内で聞かせる仕組みを採り入れている。