BEVに対するネガティブな懸念をしらみつぶしに解消している
SUVのカテゴリーに属するBEV(バッテリーEV)の「トヨタbZ4X」、「スバル・ソルテラ」の兄弟車は、両社が新規共同開発したBEV専用プラットフォームを採用する。ボディサイズは全長4690×全幅1860×全高1600mm。ホイールベース2850mm。例えば「RAV4」と比較すれば、全長で+95mm、全幅で+20mm、全高は-60mm。ホイールベースが+160mmと、長く、幅広く、しかし全高を抑えたパッケージングだ。
トヨタBEVの第一弾をSUVとしたのは、もちろんSUVが世界的に今、もっともブレークしているジャンルであることが大きく、またクルマの構造から床下にバッテリーを敷き詰めやすいからでもある。
航続距離は東京~那須を往復できる実質約400km
では、トヨタbZ4X、スバル・ソルテラはBEVのSUVとして、アウトドアにも適しているのだろうか。答えはもちろん、イ・エ・スである。アウトドアフィールドは自宅から遠方にあるケースがほとんどだが、bZ4X&ソルテラの1充電航続距離はWLTCモードで公称500km程度とされ、開発陣によれば、実走行可能距離はWLTCモードの約80%を目指しているというから、実質約400km。
つまり、東京からアウトドアフィードが点在する那須高原や、日本有数の避暑地、ドッグフレンドリーリゾートの軽井沢への往復も、あちこち立ち寄らなければ可能である。もちろん、高速道路のSA/PA、現地の充電スポットを利用すれば、さらなる余裕が生まれることになる。
もちろん、アウトドアフィールド内でエンジンを使用せず、排気ガスもまったく排出しないから、アウトドアのきれいな空気を汚さずに済む。HVやPHV(PHEV)でも起こりうる、エンジン始動による騒音もないのだから、アウトドア全体の環境に優しいことになる。
スバルのAWD技術「X-MODE」で走破性もぬかりなし
日本のアウトドアフィールドは、アクセス路も構内も道が整備され、激しい悪路に遭遇することはまずないと言っていいが、それでも万一に備えた走破性はSUVとして欠かせない。その点でも、トヨタとスバルの共同開発車だけに抜かりなし。駆動方式は1モーターの前輪駆動=2WD、前後2モーターの四輪駆動=4WDを揃え、最低地上高はSUVとしてかなり本格的な200mmとされていて、走破性にも特化したBEVと言っていいだろう。
しかもだ。トヨタ×スバルの協業によるメリットとして、スバル自慢のAWD技術のひとつ、「X-MODE」の搭載がある。X-MODEは雪道や泥道といった悪路で空転したブレーキをつまむことで脱出性能を高める機能として定評がある。モードとしてはスバル車でおなじみの2モードを採用し、「SNOW/DIRT」、「DEEPSNOW/MUD」が用意される。
しかしbZ4X&ソルテラでは、その基本機能に加えて新開発制御の「グリップコントロール」を付加。滑りやすい登坂路や下り坂で、センターコンソール前端にあるX-MODEスイッチ、およびその右隣りの「+-」のスイッチを操作することで、2/4/6/8/10km/hの一定速度を維持してくれる。そのため、アクセル、ブレーキペダル操作なしに、安全な一定速度でステアリング操作に集中できることになる。
冬場のヒーターによるバッテリー消耗問題も対策ずみ
また、冬のアウトドアフィールドへ向かうドライブシーンでは、BEVの大敵であるヒーター機能が気になるところだが、bZ4X&ソルテラでは「ECOスイッチ」により、シートヒーター、ステアリングヒーター、空調吹き出し温度、風量を自動でコントロール。乗員の周囲のみを省電力で暖める制御を採用するとともに、輻射ヒーターによって無風・無音の遠赤外線暖房まで用意している。これは下肢部分を効率的に温めてくれる機能だ。つまりBEVの大敵、ヒーター暖房によるバッテリーの消費を最小限に抑えてくれるというわけだから、心強い。