手軽にエンジン性能アップが実現できる排気チューニング
チューニングの第一歩として今も昔も人気が高い排気系。エンジンと接続されるエキマニから排ガスを外気に放出するマフラーの出口まで、細かく分類すると結構な数のパーツで構成され、各々が役割を持っている。そこで、それぞれの機能や社外品に交換する理由、選ぶ際の注意点などを考えてみたい。
気筒数や集合のさせ方で形状や特性が異なる
「エキゾーストマニホールド」
まずは排気系の始まりであるエキゾーストマニホールド。これは各気筒から出た排気ガスを集合させて後方へ送り込むためのパーツで、エンジンの気筒数と同じ数のパイプから最終的には1本へと集合する。集合に至るまでのプロセスで特性が変わるといわれ、4本から2本になって1本にまとまる『4-2-1』タイプは低中速重視、2本になる過程を経ない『4-1』タイプは高回転に強いというのが通説だ。
ノーマルの多くが排気効率よりコストを重視した作りになっている。社外品は太さや形状の適正化に加え、材質もステンレスなどを用い、フロントまわりの軽量化に少なからず貢献してくれるのも嬉しい。
タービンを回した排気をキャタライザーに導く
「フロントパイプ」
エキゾーストマニホールドの次は、ターボ車ならタービンを介してフロントパイプ、NAならそのままキャタライザーとも呼ばれる触媒へと続く。フロントパイプはタービンからの排気をキャタライザーに導くパーツで、社外品は内部の段付きやバリを減らすことによりスムースな流れを実現。
材質はステンレスが一般的だが近年では超軽量なチタン製も見かける。いずれにせよターボ車にとってはタービンのレスポンスに大きく影響する、マフラーやエキゾーストマニホールドと並ぶ重要なアイテムといえるだろう。
環境性能と排気効率向上をバランスさせた
「スポーツキャタライザー」
続いてはキャタライザーだ。最大の役割は排ガスに含まれるCO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)といった有害な成分を濾過し、人体や環境にとって害の低い成分へと変換することだ。覗いてみれば分かるが、純正は奥が覗けないほどが目が細かく、当然ながら排気効率面ではデメリットもあり大きな障害となる。いくらパワーを上げても触媒が純正では本領を発揮できないし、それどころか触媒の詰まりが原因で、アクセル踏んでも加速しないなどのエンジン不調に陥った事例もある。
とはいえ触媒を取り外すのは大きくパワーアップする反面、車検や取り締まりの問題があるしモラルに反するのは明確。そこで登場したのが排気効率と環境性能をバランス良く両立した保安基準適合のスポーツキャタライザーで、以前のようにリスクを背負って触媒ストレート(パイプ)を使う意味はなくなったと言っていい。
排気チューニングは性能向上のほかドレスアップアイテムとしても注目される
以降がいわゆる『マフラー』に分類されるパートで、性能に直結するのはメイン(センター)パイプだ。径を太くすればするほど排気抵抗が減って効率は良くなるが、太すぎれば低速トルクが細くなるといったデメリットも発生する。逆に細すぎると高回転での抵抗が増えパワーアップを阻害するので、排気量やエンジンの特性に合った最適なパイプ径を選ぶことが求められる。
また社外品のスポーツマフラーは軽量化も大きなテーマで、材質はステンレスどころか近年ではチタンも一般的になっており、全体を薄肉化したり中空の吊り下げパイプを採用するなど、メーカーごとにさまざまな工夫を凝らしている点にも注目したい。マフラーの最後端やメインパイプの途中に配置し、排気音を静かにしたり味付けするのがサイレンサーだ。
大手のメーカーは車種やエンジンによって複数の構造を使い分け、年を追うごとに厳しくなる一方の音量規制に適合させつつ、スポーツマフラーならではの性能とサウンドを追求している。見た目の印象を大きく変えるのはテール部分のデザインで、シングル出し、またはデュアル出し、真円なのかオーバルなのか、斜め出しにスラッシュカットなど、ドレスアップ効果も考えて選ぶのがベターだろう。