長年SUPER GTを撮影するレースカメラマンの注目ポイントとは
世界的に注目を集める、日本最高峰のツーリングカーレース「SUPER GT」。その魅力を世界中に届けるため、長年迫力のレースシーンを撮影するモータースポーツカメラマンの佐藤正勝さんに、独自の目線で今シーズンの注目ポイントを語ってもらった!
GT300クラスに登場する新型GR86に注目!
昨年書いてみたら、スバルはチャンピオンになるはインパルは久しぶりに優勝するは、勝手に応援団(ひとりだけどw)の目の付け所も捨てたもんじゃないな(自画自賛)。そんな訳で今年も個人的に注目したチームなんかを紹介してみたりするが、今回は岡山のテストをサボってしまったので、3月26〜27日に富士スピードウェイで行われた公式テストでパドックとコースサイドを徘徊してみた。昨年も書いておいたけど、個人的見解のためクレームは一切受け付けないので、そこんとこ夜露死苦(←オッサンだな)。
まずは今年のGT300の新車を注目してみるんだが、昨年はスープラの3台を世に送り出したレーシングカーコンストラクターでもあるaprが、今年はGR86をこの富士テストまでに3台制作したのだ。No2 muta Racing、No20 SHADE RACING、そして自身のチームでメンテナンスとレースを行うNo30 apr GR86 GT。
昨年のスープラ同様中身は一緒、違うのはメンテナンスとドライバーとタイヤメーカーなのだが、このブリヂストン、ダンロップ、ヨコハマのタイヤ開発競争が、戦績に影響することは間違いないであろう。どちら様もお気張りやす。
先代のDNAをしっかり受け継ぐ名門つちやエンジニアリング
そしてもう一台の新車に注目してみたい。昨年、初代の土屋春雄氏が他界され、二代目の土屋武士監督が率いるつちやエンジニアリングが、今回のテストには間に合わないとの噂を打ち破り、満を持していない感じで富士に登場したのだ。なんたって木曜日にやっとエンジンがかかって金曜日に搬入、さぞかしピットの中にはゾンビ状態のメカニックばかりかと思いつつ、恐る恐るピットを訪れ話を聞いてみた。
「ねぇうちのメカニック達って初めてレーシングカーを作ったんですよ」と土屋監督が口を開いた、「今は20代と30代のメカが中心でやってますよ」、高齢化が著しいレース界に於いて、確かにプロパーのメカニックの顔ぶれは若かった。
するとふたたび監督が笑いながら口を開き、「うちのクルマ作りはホームセンターで買ってきた物だけじゃなくなったんですよ」と。何を言っているのやらと思っていたら「これはAmazonで買ったヤツ、これはヤフオクで買ったヤツ」と説明してくれたのだ。流石! 春雄氏の背中を見て育っただけのことはある。
ほかの3台のスープラがMade in厚木ならば、このスープラはMade in藤沢なのだ。最強のプライベーターを目指して頑張ってほしいと切に思う次第。