ダットサンセダンから型式を受け継ぎ誕生
幸せの青い鳥を探しに行くメーテルリンクの戯曲に由来するロマンティックな車名のブルーバードは、1959年に登場した。この時の初代が“310型”だが、型式に途中から始まっている感があるのは、前身のダットサンセダン(110型、210型)の系譜として誕生したからだった。310型はテールランプの形から“柿の種”の愛称がついた。
2代目410型にSSSの前身としてSSが誕生し歴史は始まる
そして2代目ブルーバードとして1963年9月に登場したのが410型。初代と打って変わったスタイルは、2年後に登場した2代目セドリックも手がけたイタリア・ピニンファリーナによるもので、両車の“作風”に共通項が見てとれる。
ただし410型ブルーバードも2代目セドリックも、特徴的だった尻下がりのスタイルの評判が芳しくなく、いずれもモデル途中で修正を実施。410型は411型となり、そのときに“鍵穴”と言われたテールランプも、オーソドックスなデザインに改められている。
ところで410型ブルーバードは、初代よりもずっとスポーティな打ち出しで人気を集めた。忘れないうちに書いておけば、あのサファリラリーで5位入賞・クラス優勝を果たすなどしている。そして本稿の主題の“SSS(スリーエス)”の源流が生まれたのも、この410型の時代だった。手元にある日産の資料によれば“昭和40年(1965年)2月2ドア・スポーツセダン発売”とあり、この“SS”こそ、ブルーバードのいわばSシリーズの最初のモデルとなった。
残念ながら筆者は試乗経験はないが、SUツインキャブをはじめレースの技術が投入されたSSは、1.2Lエンジンの性能を65ps(それまでは55ps)に向上させ、最高速度も120km/hから145km/hに引き上げられた。にも関わらず、車両価格はおよそ5万円アップに留まっていたというから、人気を集めたのは当然のことだろう。そして、さらに搭載エンジンを1.6Lとし、最高出力も90psに高めて登場したのが、最初のスリーエス、1600SSSだった。
スタイリッシュさが際立った510型は北米でも人気に
さて1967年になると、ブルーバードは3代目の510型にバトンタッチした。“スーパーソニックライン”と称した直線基調の3角窓をなくしたスタイリングは見るからに近代的で評判が高く、のちに2代目バイオレット、910型ブルーバードなどがその面影を取り入れたほど。
この510型ブルーバードでも当然ながらSSSは設定された……というよりも、SSSらしい高性能ぶりにますます磨きがかかった。とくに走りを進化させたのは、フロント=ストラット、リヤ=セミトレーリングアームの4輪独立サスペンションが与えられた点だった。
SSSには1.6L(L16型、100ps)に加え1.8L(L18型、115ps)も設定されたほか、セダンだけでなく1968年にはクーペも登場。セダン、クーペのふたつのボディタイプのSSSが選べた。510型には当初から2ドアセダンの設定があったが、クーペはリヤウインドウを傾斜させ、リヤコンビランプは横長で光りが流れるスタイリッシュなデザインを採用していた。もちろんサファリラリーでもクラス優勝、チーム優勝も果たし、「栄光の5000キロ」で映画化もされた。