左右非対称デザインは2代目キューブのアクセントになっていた
今だから言うが、かつ、あくまでも個人の見解であり、さらにオーナーや関係者の方々には甚だ申し訳ないが、1997年に登場した初代のキューブを初めて見たときの衝撃は今でも忘れられない。背景には、1996年にマツダから登場した初代デミオが大ヒット中で、その対抗馬を仕立てることが急務だった。
そこで当時のマーチをベースに“新世代のニューベーシック、Compact Utility Day-tripper”をコンセプトとして作られたのが初代キューブだった。もちろん実用性の高さは理解できたが、せっかくの1625mmの全高に対し着座位置が低めのパッケージング、そして、あの肩のチカラの抜けたスタイリング……と、今風に言うなら残念なクルマに思えた。
そして2002年10月に晴れて登場したのが2代目キューブ。同世代には3代目マーチ(2002年2月)、初代ノート(2004年9月)があったが(さらにティーダ、同ラティオなども)、いずれもクルマを思い浮かべていただけばおわかりのとおり、スマートで溌剌とした、いかにも新世代の日産車を思わせるクルマばかりだった。
そのなかでも2代目キューブは、見た瞬間に(初代とは打って変わって!)理屈抜きで「何これ!?」と感嘆詞で登場を讚えたくなるような、いい意味で見たこともないクルマとして登場してきたのだった。
コンセプトカーがそのまま発売されたようなデザインに驚いた
何といっても“奮って”いたのは、エクステリアデザイン。“カドをまるめたシカク”をモチーフにしたデザインは、ほとんどショーカーレベルといってよく(2001年ジュネーブショーのコンセプトカー“Chappo”はもっと飛んでいた)、その印象は筆者も生まれて初めて炭酸水を飲んだときの爽快感のようだ……と思ったのを覚えている。
とりわけ「カドまるのシカク」と表現されていたカタチは、全体をまさに力強く明らかな四角形としながらも、ボディ断面、俯瞰のいずれにも大きなRがかけられ、ボディやウインドウのコーナーやエッジのRも効いて、ただの四角ではないよく練られた仕上がりになっていたのがよかった。
背が高くともそれを支える大きめのフェンダーアーチは安定感を醸し出していた。なので四角といっても決して冷たい印象ではなく、むしろ温かみのあるニュアンスが感じられた。その上で左リヤクオーター側のみにウインドウを設け、そこからバックドアまでウインドウが繋がったグラフィックとした左右非対称デザインはかなり大胆で、2代目キューブのデザイン上のアクセントになっていた。
またボディカラーは、イメージ色だったエアブルー(水色)、ビーンズ(アイボリー)のほか、定番の赤、青といった色を外したキューブの個性的なスタイリングを静かに引き立てる全8色でスタート。
グラファイト、エクリュ、モカとこれもまたセンスのいい内装色3色とあわせて24通りの組み合わせを可能にし、こだわりをみせた。